ヤマハ発動機が初の400ccDOHC4気筒モデルとして1980年に発売した「XJ400」。国内4メーカーがしのぎを削った1980年代の400cc4気筒モデルの中でも、とりわけ高い人気を誇った人気のバイクだ。そんな名車の現在地は? バイク王で実物を見ながら話を聞いてきた。
FXの独走を止めたヤマハ初の400cc4気筒モデル
1976年に登場したホンダ「CB400FOUR」(398ccモデル)から始まる400cc4気筒モデルの歴史。1977年にCB400FOURの生産が終了したことで、一度は各メーカーのラインアップから姿を消した400cc4気筒モデルだが、1979年にカワサキが「Z400FX」を投入すると、17カ月連続でクラストップの販売台数を記録する大ヒットとなった。そんなFXの独走にストップをかけたのが、ヤマハのXJ400だ。
搭載するのは最高出力52ps/10,000rpm、最大トルク3.5kgm/8,000rpmを発揮する398cc空冷4ストロークDOHC4気筒エンジン。背面ジェネレーターを採用し、エンジンを軽量コンパクト化する工夫が施されているのが特徴的だ。
1981年のマイナーチェンジでは「YICS」(ヤマハ・インダクション・コントロール・システム)を初採用。これにより、非搭載車と比べて燃費が23%向上したという。
その後は「XJ400D」、アメリカンタイプの「XJ400スペシャル」が登場し、XJ400はシリーズ化していく。1983年4月には第2世代となる水冷モデルの「XJ400Z」が登場したが、1985年に生産が終了した。
XJ400の価格は安定傾向?
バイク王茅ヶ崎絶版車館の岡本拓也さんによれば、バイク王では年間約10~15台のXJ400を買い取っている。車両販売価格は250万円~300万円ほど。この傾向に今のところ大きな変化はないそうだ。
「需要と供給は、ここ3年ほど大きく変化していません。安定している印象です。ただ、コロナ禍でバイクブームが到来したこともあり、旧車を求める方は増えていますし、今後10年を見据えればやっぱり取り扱い台数はだんだん減っていくと思います」(以下、カッコ内は岡本さん)
買取車両はノーマル車よりもライトカスタムされたものが多いという。
「XJ400はカスタムのベース車として使われていることも多くて、特にマフラーが変えられている車両はよく見ますね。今あるXJ400Dも、4本出しのマフラーから集合管に換装されています。ちょっともったいない感じがします」
XJ400に限らず、バイクを購入したらカスタムしたくなるのが人情だとは思うのだが、ノーマルパーツは大切に保管してほしいと岡本さん。
「やっぱり、バイクによって調達が難しいパーツ、そもそも供給自体がないパーツというのはあります。例えばXJ400であれば、ノーマルのマフラーがあるかないかで価値が変わってきます。もし、今お持ちのXJ400のマフラー交換を考えている場合でも、ノーマルマフラーは大切に保存していただいて、その上でカスタムを楽しんでもらえればと思います」
■Information
取材協力:バイク王茅ヶ崎絶版車館
【場所】神奈川県茅ヶ崎市下町屋1-10-26
【営業時間】10:00~19:00
【定休日】水曜日
【備考】記載の情報は取材時のもの。車両の在庫状況や現車確認を希望の場合は0120-222-393まで要問い合わせ
安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら