「出会い系1回8万円超」「風俗では複数プレイのオプション」元アイドルをメッタ刺しにした無職中年男は金をばらまき、身勝手な欲望を満たしていた〈府中ホテル殺人事件から10か月〉

2月3日未明、府中市寿町のホテルのベッドの上で、首から血を流し、あおむけで倒れている元アイドルAさん(24)の遺体が発見された。警視庁は現場から立ち去った、府中市内に住む職業不詳の石川晃(当時54歳)を殺人容疑で逮捕、起訴した。事件発生から10カ月、取材班は石川被告と事件直前まで親しかった女性に出会った。
東京・府中市内のホテルの一室で当時24歳のAさんを殺害したとして、職業不詳の石川晃が逮捕、起訴された事件。Aさんは高校卒業後に芸能界を夢見て某アイドルグループに加入していたことから、事件当時は”府中市ホテル殺人”“元アイドルをメッタ刺し”などと報じられた。「石川は事件当時『確実に殺すために持っていたナイフで首を3回刺した』などと供述していました。石川と被害女性の年齢差は30歳ありましたが、石川は『彼女とは交際していました』などとも話していたようです。事件当時、石川は無職で調布のマンションに一人暮らし、社会との接点がなく人物像がほとんどわかりませんでした」(情報番組担当ディレクター)
事件がおきたホテル(撮影/集英社オンライン)
12月、集英社オンラインは石川被告と事件を起こす3日前までやり取りをしていた風俗店勤務の女性Bさん(24歳)と接触。Bさんは警察から数度聴取を受けており、石川被告を知る数少ない人物の一人だ。
石川被告(Bさん提供)
「去年8月、秋葉原のデリバリーヘルス店に勤務していた際に、石川に指名されて秋葉原のホテルに呼ばれました。もう一人の女性従業員と“3Pコース”で、しかも“手錠”や“電動マッサージ”といったハードなオプションを4、5個つけてきて、総額12万円くらい使っていました。お土産にGODIVAのチョコを私ともう一人の女の子に渡してきました」(Bさん)
Bさんはこのとき、えらく羽振りのいい石川被告に「なぜ自分たちを呼んだのか?」と尋ねたという。「石川は、私たちを呼ぶ前に出会い系サイトで知り合った女の子とエッチすることになったものの、行為の途中で女の子が『ローション買ってくる』とホテルを出たまま、ドロンしてしまったようなんです。それでムシャクシャして私たちを呼んだと話してました。その女の子には前金で5万払っていたそうです」自らの欲求のためなら金を湯水のごとく使う石川被告に対し、Bさんは『この人はきっと上客になる』と考え、石川被告と繋がりを持とうと試みた。そして石川被告が利用している出会い系サイトを聞き出し、“繋がり”をもつことに成功したという。
風俗嬢からみても上客だったという石川被告とのLINEのやりとり(Bさん提供)
そして8月末、石川被告から「紹介したい女の子がいる」と言われ歌舞伎町に呼び出された際、Aさんと出会ったという。「そこで紹介されたのが、被害女性のAさんでした。石川は『僕の彼女です』と私に紹介してきました。私としては、なんで援助交際相手の私に彼女を紹介するんだろうと謎でしたが、その後、2時間ほど3人で飲みました。石川はAさんにのめりこんでいて100万円単位で貢いでいたようでした。私にもそのときも交通費として1万円をくれました」Bさんの話によれば、石川被告は「休職中だ」と話していたという。「なんか、うつ病で会社を休職してるんだと言ってました。安定剤や睡眠薬もけっこう飲んでいるようでした。その影響なのかわからないけど、石川から夜中にLINEで『渋谷に来て』と言ってきて、もう終電もなさそうな時間だから『タクシー代をくれないと行けない』と言うと、いきなり『死ね』とか『公衆便所』とかひどい言葉を送ってきました。LINEだと突然、豹変して変なことを言い出すときが多々ありました」
感情の起伏が激しかった石川被告(Bさん提供)
いっぽうのAさんも芸能界を夢見てアイドル活動をしていたもの、人間関係に悩み、夢破れてしまった。仕事も続かず、流れついた先が歌舞伎町だった。だが、ここで売掛が当然のホストクラブやサパークラブにハマってしまい、担当ホストからは数百万円のシャンパンタワーをねだられて応じるなど、しだいに金に困っていった。そのときに出会ったのが、石川被告だったという。
乃木坂46に憧れていたAさん
だが当時、石川被告の生活も破綻していた。Bさんが続ける。「去年12月ごろにも石川から『また会わないか』という連絡が来ました。そのときは『自分が集めてるアニメのフィギュアを売ってお金を作るから、会ってくれないか』って…。手持ちの何かを売らないとお金がないくらい逼迫しているんだなと思いました。そんな自暴自棄な暮らしをしてないで、普通に働けばいいのにと思ってはいたんですが…もちろん私は石川には会いませんでした」その後もBさんには、石川被告から一方的なLINEが送られ続けたという。「石川は毎日のように意味のないLINEを送りつけてきました。今年1月下旬ごろには被害女性との関係があまりよくなかったようで『なぜか自分は無視されてる』などとも打ち明けてきてました。そして最後にLINEが来たのは1月30日。『AさんのLINEアカウントが変わったよ』という報告でした。私はもう、この2人には関わりたくないと思ったので、それには特に返信しませんでした。でもまさかその3日後に事件を起こすとは…」
石川被告からBさんに送られたLINE
仕事もせず、自らの欲望を満たすために20代女性に大金を渡し続けていた石川被告。連絡がとれなくなった女性を逆恨みし刃物でメッタ刺しにする衝動の正体はいったいなんだったのか。公判は年明けになるという。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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