JR外房線の永田駅(大網白里市)の構内トイレが設備縮小の一環で2月に閉鎖され、市民が利用再開を求めている問題で、市が駅舎隣接地に公衆トイレを設置する方針を決めたことが25日までに、市や関係者への取材で分かった。閉鎖されたトイレのフェンス越しにある有料駐車場の土地をJR東日本が市に今後、無償譲渡し、その土地に市がトイレを整備する予定。設置費用や維持管理費は市が負担する見込み。
トイレ利用再開に向け、市はJRと協議を続ける中で「閉鎖されたトイレを復旧」「駅舎隣接地にトイレを新設」の2案を検討した。閉鎖トイレは1968年築の和式トイレで、利用を再開しても改修費が将来必要になる可能性が高いことや、駅構内だとJRとの調整に時間がかかる点などを考慮した結果、市はJRが所有する土地の無償譲渡を受けて改札外に鉄道利用客以外も利用できるトイレを設置する方針を固めた。
市によると、同駅にトイレがないことを問題視した市民から「トイレ設備を市に寄贈したい」との申し出があり、これを活用すれば設置費を抑えられることも新設方針の一因となった。今月上旬、市とJR側は土地無償譲渡について口頭で合意した。今後、市はJR側へ正式に文書で依頼する。
市は「まだ明確なスケジュールを示せる状況ではない」とし、設置時期は未定とするが、来年2月開会の市議会定例会に測量費などを盛り込んだ一般会計補正予算案を提出する方針。
JRは「持続可能な鉄道ネットワークの維持」を目指すための固定費削減などを理由に今年2月5日、同駅構内トイレを閉鎖。「列車内のトイレを使用してほしい」と呼びかけた。同駅前には公衆トイレもなく、閉鎖後、市民から不便だとして利用再開を求める声が上がり、署名活動も展開された。市議会でも複数の議員が一般質問で取り上げたほか、6月の定例会では再開を求める陳情が全会一致で採択されていた。
7月に金坂昌典市長へ陳情書や337人分の署名簿を提出した市民団体「永田駅のトイレを存続させる会」の新倉雅樹さん(61)は、隣接地への公衆トイレ設置方針について「率直に良かったと思う」と話した。