JR京葉線の通勤快速の廃止など快速を縮小する来年3月のダイヤ改正について、沿線住民や首長らから撤回を求める声が相次いでいる問題で、JR千葉支社の土沢壇支社長は22日の記者会見で「引き続き丁寧に狙いや背景を説明する」と述べ、予定通りダイヤ改正を実施する考えを示した。通勤快速の乗客が新型コロナ禍で減少し、現在も「残念ながら芳しくない」と現状を説明。強く反発している県や千葉市に対しては自身が説明に出向き理解を求めるとした。
同支社によると、現行のダイヤでは、上り通勤快速電車は乗客が各駅停車に比べて7割程度にとどまる。逆に夜の下りは通勤快速に集中しており、各駅停車への乗換駅となる新木場で混雑が発生している。
土沢支社長はダイヤ改正の主な目的に(1)混雑のばらつきを標準化(2)快速通過駅の乗車チャンス拡大(3)各駅停車の所要時間短縮―の3点を挙げた。朝夕夜の時間帯に快速の通過待ちに要していた時間が解消され、通過駅の停車も上下で30本以上増加する。蘇我―東京間の各駅停車の所要時間は「平均2分、最大7分短縮できる」といった複数の利点も訴えた。
通勤快速の廃止などで保育園への送迎に支障が出るなどとする懸念も上がっているが、土沢支社長は「上り通勤快速を最大4本設定していた時代もあったが、利用状況が芳しくなく、一昨年のダイヤ改正で現在の2本にした」と経緯を説明するにとどまった。
快速縮小を含むダイヤ改正を巡っては、21日に熊谷俊人知事と神谷俊一千葉市長が「容認できない」と断言し、JR側への撤回の申し入れを検討すると表明。土沢支社長は自治体側には既に部長級の社員が説明したとした上で、反発について「こちらの説明不足が招いた。できる限り早く出向いて丁寧に狙いや背景を説明する」と述べた。