12月は、ボーナスが支給される人にとっては楽しみな時期でしょう。民間企業の場合、冬のボーナスは12月中旬頃に支給されるところが多いですが、国家公務員の冬のボーナスは今年は12月8日に支給され、地方公務員もこの日にちに準じて支給されることになっています。
では、今年の公務員の冬のボーナスはいくら支給されたのでしょうか。今回は、公務員の2023年冬のボーナス平均支給額とともに、国家公務員の過去の冬ボーナスもあわせてご紹介します。
■2023年冬のボーナス、公務員の平均支給額は?
内閣人事局によると、2023年の国家公務員(管理職を除く行政職職員)の冬ボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は、約67万4,300円となりました。昨年の冬ボーナスの平均支給額は約65万2,100円でしたので、前年比約3.4%増、金額にしておよそ2万2,200円の増額です。
ボーナスの平均支給額は、「支給月数×平均給与額」で計算されます。今回の支給月数は2.26ヶ月(昨年は2.21ヶ月)、平均給与額は約29万8,400円(昨年は約29万5,100円)でしたので、「2.26ヶ月×29万8,400円=67万4,384円」となります。なお、平均年齢は33.4歳(昨年は33.8歳)でした。
内閣人事局は、今年の冬ボーナスが増額した要因として、
(1)今年の人事院勧告に基づく給与法改正等により、期末・勤勉手当の支給月数を0.1ヶ月引き上げたこと
(2)今年の人事院勧告に基づく給与法改正により俸給が増額したこと等により、平均給与額が増加したこと
を挙げています。
では、地方公務員のボーナス支給額はどうでしょうか。みずほリサーチ&テクノロジーズの「2023年冬季ボーナス予測」によると、公務員(国家公務員+地方公務員)の1人当たりボーナス支給額は、前年比4.2%増と大幅な増加が予想されています。
国家公務員の給与・ボーナスは、「人事院勧告」に基づき決定されますが、地方公務員の給与・ボーナスは国家公務員に準じて決定される自治体が多くあります。そのため、地方公務員の冬ボーナスも同様に、増額となることが見込まれているのです。
国家公務員の冬ボーナスの推移
今年の国家公務員の冬ボーナスの平均支給額は約67万4,300円で、2年連続のプラスでした。では、国家公務員の冬ボーナスはどのように推移しているのでしょうか。2023年~2014年の国家公務員の冬ボーナスの推移をまとめてみました(全て内閣人事局資料より)。
2023年 約67万4,300円
2022年 約65万2,100円
2021年 約65万1,600円
2020年 約65万3,600円
2019年 約68万7,700円
2018年 約71万円
2017年 約68万1,500円
2016年 約70万4,800円
2015年 約65万8,600円
2014年 約69万1,600円
このように直近10年分の冬ボーナスを見てみると、国家公務員の冬ボーナスは65万円台~71万円台を推移していることがわかります。最近では、2018年に71万円と高い金額が支給されているもののその後は減少が続き、2022年からやや回復、そして今年は昨年と比べ2万円以上の増額となりました。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「2023年冬のボーナス見通し」では、公務員の2023年の冬ボーナスについて「コロナ禍からの経済活動再開や物価上昇を受けた民間での賃上げの動きが、昨冬以降公務員の賃金にも織り込まれつつある」としています。
また、「今後も民間での賃金上昇傾向は続き、公務員の給与・ボーナスも遅れて増加」することが予想されています。民間企業とともに、回復基調にある公務員のボーナス。来年も公務員のボーナスは増加することが期待できそうです。
■2023年8月発表の「人事院勧告」の内容は
国家公務員の給与やボーナスは、民間企業の水準とかけ離れないよう、民間の給与やボーナスと比較したうえで「人事院勧告」に基づき決定されます。2023年8月に発表された令和5年の人事院勧告には、以下のような内容が盛り込まれました。
・ボーナスを0.1ヶ月増の年4.5ヶ月分に改定
・初任給を高卒約8%(1万2,000円)、大卒約6%(1万1,000円)引き上げ
この人事院勧告に基づき、2023年10月の閣議で改正給与法が可決・成立し、国家公務員の給与や今冬・来夏のボーナスが決まるという流れになっています。
なお、国家公務員のボーナス支給日は、法律で夏は6月30日、冬は12月10日と決められており、地方公務員もこれに準じて支給されます。今年の12月10日は日曜日にあたるため、実際の支給は12月8日に行われました。
■今後も増加が見込まれる公務員のボーナス
今回は、公務員の2023年冬ボーナスの平均支給額や、過去の支給額をご紹介しました。2023年冬の公務員のボーナスは、民間企業の賃上げを反映し、国家公務員では前年比2万円以上のアップです。民間給与とともに、公務員の給与・ボーナスも引き続き順調に増加して欲しいものですね。
武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら