【2023年モデル】高温加熱式たばこデバイスの主要3モデルを徹底比較

たばこ葉を燃焼せず、加熱することによって発生する蒸気(たばこベイパー)を楽しむ「加熱式たばこ」は、火を使わない安全性や、煙が出ず、臭いが少ないという特徴により、2010年代から徐々に勢力を拡大。現在では4割近くのシェアを拡大するに至っている。

加熱式たばこには、たばこスティックを使用する“高温加熱式”とリキッド入りカプセルを使用する“低温加熱式”の2通りがあるが、現在の主流は“高温加熱式”で、JTの「Ploom X(プルーム・エックス)」、フィリップ モリスの「IQOS(アイコス)」、BATの「glo(グロー)」といった3つのブランドがしのぎを削っている。

そこで今回は、主要加熱式たばこの各ブランドから2023年にリリースされたデバイスをあらためて紹介し、それぞれの特徴を比較してみたい。
■JTから「プルーム・エックス・アドバンスド」が登場

「プルーム・エックス」は、JT初のグローバルモデルとして2021年8月に発売された加熱式たばこ。高温加熱式たばこの中では後発ということもあって、シェアはおよそ1割にとどまっているが、さらなる巻き返しを図るべく、新モデルとなる「プルーム・エックス・アドバンスド(Ploom X ADVANCED)」が2023年11月にリリースされた。

「プルーム・エックス・アドバンスド」は、「プルーム・エックス」のアシンメトリックで流麗な曲線美を踏襲しつつも、質感を引き上げることでデザイン性を向上。全体的に緊密感があり、手にも馴染みやすい高品質なデザインを実現している。

機能面では、たばこスティックを挿し込むだけで自動的に加熱がスタートする「自動加熱」を採用。さらに、“POWER HEATFLOW”と呼ばれる新たなヒーティングエンジンを搭載することで、最高加熱温度を320度まで引き上げる。また、温度と気流を緻密にコントロールすることで、吸いごたえ・味わいを長く持続させることで、喫煙可能な5分間に何度でも吸うことができる“パフ回数無制限”という特徴をより活かした設計となっている。
■「IQOS」は限定モデルでカラーバリエーションを追加

2014年の登場以来、高温式加熱たばこ市場を牽引するフィリップ モリスの「IQOS」ブランド。現在は2021年に登場した「IQOS イルマ(ILUMA)」シリーズが主流で、スタンダードの「IQOS イルマ」のほか、フラグシップモデルとなる「IQOS イルマ プライム(PRIME)」、コンパクトな「IQOS イルマ ワン(ONE)」の3モデルが展開されている。

「IQOS イルマ」シリーズは、ブレードをなくし、使用後のクリーニングが不要なスマートコア・インダクション・システムを搭載することでユーザビリティを向上。高い完成度を武器に、日本市場においても高いシェアを獲得している。

豊富なカラーバリエーションを展開する「IQOS イルマ」だが、2023年は数量限定でのカラーバリエーションを積極的に追加。2023年3月にバイオレットとマゼンタのカラーリングが特徴的な「IQOS イルマ ワン 数量限定ネオンモデル」、2023年5月にターコイズカラーにカラフルな波模様を配した「IQOS イルマ WE(ウィー) 2023 モデル」、2023年9月には明るく躍動感のあるカラーデザインを施した「IQOS イルマ ブライト(BRIGHT) モデル」を投入。数量限定モデルはあくまでもカラーバリエーションであり、デバイス自体の機能に違いはない。

■「glo」からはシリーズ史上最軽量のデバイスが登場

BATが展開する加熱式たばこ「glo」ブランドは、誘導加熱技術(IH)を採用しており、ブーストモードによる高速加熱が持ち味。使用するたばこスティックの太さによって、「glo pro(プロ)」と「glo hyper(ハイパー)」という2つのシリーズが展開されているが、現在では太いたばこスティックを使用する「glo hyper」が主流となっている。

初代の「glo hyper」から、「glo hyper+」「glo hyper X2」と代を重ね、2023年6月には、シリーズ史上最軽量となる「glo hyper air」が登場。「glo hyper X2」と比較しても、厚さを40%削減、重量を25%軽減と、スリムで軽量なボディを実現している。

「glo hyper air」は単なる軽量化にとどまらず、たばこスティックの挿入口に「スライドシャッター」が採用されているほか、充電残量・使用中の加熱モード・起動時間などが確認できる「LEDディスプレイ」を搭載するなどの工夫が取り入れられている。

なお、「glo」からは、2023年12月18日に最新モデルとなる「glo hyper pro」が登場するなど、さらなる進化にも注目しておきたい。
■各ブランドの2023年モデルを比較

ここでは2023年にリリースされた各社の加熱式デバイスを比較しながら、各デバイスの特徴をチェックしていく。今回比較したデバイスは、「プルーム・エックス・アドバンスド」「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」「glo hyper air」の3種類をピックアップ。

■サイズ
加熱式たばこデバイスは持ちやすさが大事な要素となっているが、各社それぞれ異なるアプローチでのデザインとなっているのが非常に興味深い。「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」と「glo hyper air」は、各シリーズにおいて軽量モデルと位置づけられていることもあり、デザイン的にはシャープで、縦に長い薄型のデバイスとなっている。

「プルーム・エックス ADVANCED」は、丸みを帯びた重厚感のあるデザインが特徴となっているが、見た目は非常にコンパクトにまとまっている。重量も「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」の68.5g、「glo hyper air」の約75gに対して、「プルーム・エックス アドバンスド」は約95gとやや重めとなっているが、「glo hyper X2」が約102g、「IQOS イルマ WE 2023 モデル」がチャージャー込みで147gであるのに比べると、非常に軽量に仕上がっているとも言える。

■連続使用回数・使用可能時間・加熱時間
1回の充電で何回使用できるかも加熱式たばこにおいては重要なポイントだが、連続使用回数については各モデルともに(約)20回となっており、たばこスティック1箱分の使用が可能。一方で、1回の加熱で使用できる時間は「プルーム・エックス アドバンスド」が約5分、「glo hyper air」が通常4分/ブースト時3分であるのに対し、「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」は約6分もしくは14パフという仕様になっている。吸い方は人それぞれだが、パフ数は少なく、ゆったりと楽しみたい人には「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」、パフ数を多く楽しみたい人は「プルーム・エックス アドバンスド」がおすすめといえそう。

一方、加熱時間については「プルーム・エックス アドバンスド」が約25秒、「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」が20秒であるのに対し、「glo hyper air」は通常30秒と長めだが、ブーストモードを使えば20秒で加熱できる。

■充電
各モデルとも、充電用の端子にはUSB Type-Cを採用。充電時間については「プルーム・エックス アドバンスド」と「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」は約90分、「glo hyper air」は約120分となっている。

■価格
各デバイスのメーカー希望小売価格は、「プルーム・エックス アドバンスド」(スターターキット)が1,980円、「glo hyper air」が1,980円、「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」が3,980円となっており、「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」がやや高めの設定となっている。

■カラーバリエーション
各デバイスのカラーバリエーションは、「glo hyper air」が「オーシャンブルー」「オーロラティール」「クリスプパープル」「ローズゴールド」「セレスティアルネイビー」といった5種類で展開。「プルーム・エックス アドバンスド」は現在のところ「ブラック」「シルバー」の2色のみだが、今後の追加が期待される。

一方、「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」は、数量限定のカラーバリエーションモデルで1色のみ。「IQOS イルマ ワン」については、「モスグリーン」「ペブルベージュ」「ペブルグレー」「アズールブルー」「サンセットレッド」の5色がラインナップされているほか、数量限定の「ブライト モデル」など幅広い選択肢が用意されている。

■そのほかの特徴
「プルーム・エックス アドバンスド」は、たばこスティックを挿すだけで加熱がスタートする「自動加熱」が特徴。「自動加熱」自体は「IQOS イルマ」シリーズでも採用されているが、「IQOS イルマ ワン」に限り、加熱ボタンを押す必要がある。

「glo hyper air」は、「glo」シリーズの伝統ともいえるブーストモードを搭載。高温高速加熱によって、より満足感のある味わいを楽しむことができる。

一方、「IQOS イルマ ワン WE 2023 モデル」は、使用後のクリーニングが不要な点が大きなメリット。吸い続けてもクリーニング無しで変わらぬ味わいを楽しむことができる。

■たばこスティックの種類
ここまで加熱式たばこのデバイスについて比較してきたが、結局のところ、デバイスの特徴だけでなく、たばこスティックの好みもどのブランドを利用するかの基準になり、逆にたばこスティックの味わいによってブランドを決める、あるいはブランド移行ができない人も多いのではないだろうか。

そこで最後に、各メーカーが2023年12月15日現在でラインナップしているたばこスティックの銘柄と種類を紹介しよう。

糸井一臣 この著者の記事一覧はこちら

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