おむすびで世界に届けたいお米の素晴らしさ…星光さん…ミセスオブザイヤー2023ジャパンファイナルで特別賞

11月に東京で行われた「ミセスオブザイヤー2023ジャパンファイナル」で宮城・栗原市の星光(ほし・ひかる)さん(37)が特別賞を受賞した。キッチンカー「くりはらおむすび」でおむすびのかぶり物で地元の魅力をアピールし、おむすびを通じて世界中へ笑顔を届ける。
きらびやかなドレスで堂々と披露するのは「おむすびポーズ」。普段はキッチンカーでおむすびの販売を行う星さんは、知人の勧めで9月のミセスオブザイヤー宮城大会に初出場。14センチの高いヒールでのウォーキングなど慣れないことも多く「本当に緊張してガタガタしちゃった」と苦笑いで振り返るが、見事に審査員特別賞を受賞してジャパンファイナルへ進出した。
日本大会でも「地元を盛り上げたい」と米を中心とした地元農産物への熱い思いをスピーチしてアピールすると、各地方の激戦を勝ち抜いたファイナリストの中から特別賞を受賞。「地元の栗原を知ってほしいという決意があるからこそ、何を言われても、何があっても負けないと強く思えた」
栗原市内の米農家に生まれた星さんは「泥だらけでなんぼ」の服装や、トラクターで父が学校へ迎えに来るなど「昔は本当に農業ってダサくて嫌いだった」と笑う。それでも「朝露にぬれる稲穂や、トンボが羽化する瞬間など自然と生き物が共存する世界が好きだった」と魅力に気づき、農業の勉強のために北海道の大学へと進学。一度は北海道で就職したが「ふるさとに感謝する気持ち」に気づき始め、震災やおいっ子の誕生をきっかけに2015年に宮城へと戻った。
米どころながら認知度が上がらない地元・栗原をPRするため、今年4月には勤務していた会社でキッチンカーをオープンした。9月には「生産者のことを知っているからこそのお米のおいしさや、ペアリングなどもっと発信したい」と自身の夢に向かって幅を広げるために独立。トレードマークのおむすびのかぶり物で、毎週木曜日には栗原市内で、土日祝日では市内外のイベントなどで出店している。
米だけでなく具材も栗原市産を使用。のりと昆布も栗原の事業所から仕入れて「地域のもので少しでもおいしいと感じてほしい」と「くりはらおむすび」を仕立てている。4、5種類を並べるが、定番は「金のいぶき」を使用した「玄米の概念が変わるおいしさ」の玄米おむすび。「口に入れるとほどける、私にしか握れない握り方」とこだわりがいっぱいに詰まったおむすびになっている。
順風満帆に見える生活も、2年前には原因不明の関節の病気で急に歩けなくなり、1か月間の車いす生活を送った。何か所も病院を回って病気の詳細が判明し、腫瘍を取って復帰。「自分の足で歩けることや、普通に明日が来る素晴らしさを感じることができた。あの時に比べたら今が最高じゃないかといつでも思える」と苦しみも、明るいメンタルへの糧として前を向く。
ミセスオブザイヤーへの出場を通じて「嫌われることを怖がらず、アピールしてなんぼの世界だと知ることができた。人と比べてもいいことはないし、自分は自分だと思えた」とさらなる上昇気流に乗った星さん。これからの夢は、キッチンカーで47都道府県を巡ってその土地の美味しい物でおむすびを作って皆の架け橋になることだ。日本にとどまらず「海外にもお米の素晴らしさを届けたい」と、現在はミセスオブザイヤーの日本大会で受賞した人だけが出場できる来年6月の世界大会への出場を目指し、出場費の工面のために奔走中。「大嫌いから大好きになった農業」とともに「こなす日々でなく、選ぶ日々を過ごして誰かの幸せになりたい」と、自分自身を愛しながら明るい笑顔で人と人を結んでいく。
(秋元 萌佳)
◆ミセスオブザイヤー 地方創生などを掲げて2020年に日本で誕生した大会。テーマは「自身にリミットをつくらず、エイジレスにボーダーレスにジェンダーレスにチャレンジをし続ける、愛と感謝にあふれたカッコいい女性になろう」。22年からは全国47都道府県で地方大会を開催。部門はゴージャス(婚姻歴のない25歳以上)、ブリリアント(20~42歳)、プレシャス(43~60歳)、エターナル(61歳以上)の4つ。

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