伊是名村産の自家製小麦粉を使ったクッキー「伊是名島の香り」が人気を集めている。島内のみの販売だが、11月に行われた二つのスポーツ大会で、島外からの参加者が食べ「本物の小麦の風味がする」「デパートの商品のような上品な味」などと発信し、売り上げが急上昇。現在、島外の村出身者がボランティアで仲介役となり、沖縄本島の人に届けるなど“人の輪”で販路を広げている。 クッキーは村唯一のケーキとパンの店「菓子の島かみやま」を営む神山利和さん(66)が自家栽培した小麦を使用。「原材料から製造、販売まで自分の手でやりたい」との信念で、昨年6月ごろに販売を始めた。 琉球王朝第二尚氏の始祖「尚円王」ゆかりの島にちなみ、王家の家紋をデザインした。島の新たな特産品として製造販売しているが、家族経営のため販売量や販路が限定されてしまうのがネック。知名度向上も課題の一つだった。 人気上昇のきっかけは11月に島内で開かれた国内最大級の自転車競技の祭典「ツール・ド・おきなわ」の伊是名島サイクリングと、4年ぶりに開催した「いぜな88トライアスロン大会」だ。島外から参加のアスリートが土産で購入したクッキーの評判が口コミやSNSで広がり、「もっと欲しい」との声が相次いだ。 トライアスリートで伊是名観光大使を自称する村出身の前川尚也さん(41)=宜野湾市=がSNSで注文を受け付けたところ、申し込みが殺到。島に住む知人に本島を訪れる際に商品を買って来てもらって配るなど、ボランティアで販路拡大に協力している。 神山さんは「大会前と比べると売り上げは2倍以上」とうれしい悲鳴。県外からの注文も増えているといい、「来年は離島フェアへの出店も考える。伊是名の味を多くの人に味わってほしい」と話した。 前川さんも「島でしか買えないプレミアム感もあってか、一気に40箱以上の注文が入る場合もある。クッキーを通じて伊是名の歴史や文化を知ってもらい、島を訪れる人が増えれば」と期待を込めた。 クッキーは税込みで8個入り980円、12個入り1450円。問い合わせは同店、0980(45)2363。(社会部・下里潤)一気に40箱以上の注文も! 伊是名村のクッキーに注文殺到 き…の画像はこちら >>
クッキーは伊是名村産の小麦粉を使い、王家の家紋もデザインされている