地域にとって昔から当たり前にあった施設を、魅力的な観光資源に･･･その取り組みを深掘りすると、そこには旗振り役となった人たちの深い“地域愛”がありました。愛知県蒲郡市の西浦温泉にある「ホテルたつき」。全ての部屋から海が見え、大きな温泉が売りのホテルです。
1日1組限定の絶景宿 老朽化施設を“眠らせない”リノベとは…の画像はこちら >>
ここに2月5日、新たにオープンしたのが、三河湾の絶景を一望できるテラスです。
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（ホテルたつき営業支配人 嶋﨑眞宏さん）「海を見ながら飲食できるスペースとして作りました」その絶景を引き立たせるのが、すぐ隣にある灯台です。（ホテルたつき営業支配人 嶋﨑眞宏さん）「（灯台は）下の遊歩道からも見えない。ホテルたつきに来ていただくと見ることができる、非常に変わった灯台です」
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1971年に建てられた、高さ14メートルの「橋田鼻灯台」。その光は23キロ先まで届き、三河湾の船舶の安全を守っています。
案内してくれた、ホテルの営業支配人の嶋﨑さんは、実はこの灯台の”管理人”なのです。本来は海上保安庁が管理する灯台。点検のために訪れる職員に、嶋﨑さんが「入ってみたい」と相談したのがきっかけでした。
（ホテルたつき営業支配人 嶋﨑眞宏さん）「この灯台からの景色、最高だと思いませんか？（初めて入った時は）もうむちゃくちゃうれしかったですよ。こんなに素晴らしい景色があるんだと。この景色を皆さんにぜひ見ていただきたいなという気持ちです」
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そこで、ホテルは海上保安庁の「航路標識協力団体」に申請。灯台の掃除や管理を担当する代わりに、観光資源として活用できるようになりました。
土日には、灯台の見学会も開催。この日、愛知県みよし市から灯台を目当てに訪れたという男性は…（男性客）「おお～すごい、すごく景色が綺麗、360度」
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テラスは、宿泊客でなくても利用でき、天気の良い日は灯台を見ながら食事を楽しむことも。地元の住民は…（地元住民）「灯台があることは知っていたが、ここから見るのは初めてです。友達と来てランチしてみたいですね」
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愛知県の統計によると、1990年代には年間60万人以上が訪れていた西浦温泉も、2022年には年間約13万人に。この灯台テラスをきっかけに、西浦温泉に人を呼び込みたいと話します。（ホテルたつき営業支配人 嶋﨑眞宏さん）「地元の人でもここに灯台があるというのを知らない人が非常に多かった。まず地元の人に知ってもらって、そして一度来ていただく。県外、それから全国の人に来てもらえるようにしていきたい」
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続いては、三重県。荷物を積み込み、船で向かう先は…
三重県志摩市。滋賀県から来たのは堀江さん夫婦。釣り竿などの荷物を持って、船に乗り込みます。向かう先は…（宿泊客 堀江宗弘さん・智子さん）「（宿泊施設に船で向かうのは）初めてです。ちょっとワクワクしますね」
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およそ10分で到着したのは、宿泊施設「うみらぼ」。1日1組限定で泊まることができ、英虞湾を眺めながらサウナやバーベキューなどが楽しめます。
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（宿泊客 堀江宗弘さん・智子さん）「釣りとバーベキュー、最後まで楽しみたい」「海を見てぼーっとして、居眠りしたい」
この場所、かつては全く別の施設でした。「うみらぼ」を作った、川野晃太さんは･･･（うみらぼ代表 川野晃太さん）「ここはもともと真珠養殖場の休憩所だった。元の建物を活かしながらリノベーションしました」「家族が代々真珠養殖に携わっていて、私が3代目の代。祖父母・父母がここで働いていたので、私はここで育ててもらった。幼い頃の記憶は海の上や、真珠養殖場が遊び場みたいな感じでした」
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エサとなる植物プランクトンが豊富なことから真珠養殖が盛んに行われ、全盛期には1300軒もの養殖場があった英虞湾。しかし、後継者不足や海の環境の変化などを理由に廃業が相次ぎ、ここにあった真珠小屋もいつしかすっかり手つかずの荒れ地になってしまいました。
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（うみらぼ代表 川野晃太さん）「人がいなくなってからどんどん荒廃していって、今にも建物が崩れそうだったりとか、ジャングル化していた。昔のイメージと全然違っていたので、さみしさやもったいなさ、このままだとまずいなという気持ちになりました」
そこで、川野さんは友人らとともにリノベーションに着手。真珠小屋の面影を残しながら、2024年4月、宿泊や企業研修ができる施設に生まれ変わりました。宿泊料金は、平日2人の利用で1泊3万円です。
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トイレの屋根にはかつて養殖に使っていた「いかだ」を、屋外のライトには「浮き」として使われていた「ビン玉」を再利用しました。（うみらぼ代表 川野晃太さん）「時が止まっていたものを形を変えて新たに命を吹き込む、そこはこだわっているところです。使えるものはうまく活かしたい」
「うみらぼ」に宿泊した堀江さん夫婦は…（宿泊客 堀江宗弘さん）「素晴らしいと思います。こういう所に将来住めたらと思うような施設なので、もっと増えていってほしい」
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川野さんは英虞湾の魅力を知ってもらいながら、”地域の未来を創る場所”にしていきたいと話します。
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（うみらぼ代表 川野晃太さん）「この地域にいる人と外から来る人が知恵や技術を持ち寄って地域活性化につながる種が生まれる施設であってほしい。真珠に代わるイノベーションを起こすような活気あふれる場所になってくれたらと思います」