2022年に日本製鉄東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)から有害物質シアンが流出した問題で、千葉海上保安部は26日、法定基準に反するシアン化合物などを排水口から外部に流した過失があったとして、水質汚濁防止法違反の疑いで、法人としての同社(東京)と、同地区の当時の水質管理担当者1人を千葉地検に書類送検した。千葉海保は23年に同製鉄所を同法違反容疑で家宅捜索していた。
書類送検容疑は22年4~7月、過失によって複数回にわたり、同地区内の施設で生じたシアン化合物や法定基準を満たさない窒素含有量の排出水を地区内の排水口から流し、同年6月19日午後0時50分ごろ、過失によって、同地区内の施設で生じた法定基準を超える量のアンモニアなどを含んだ排出水を流した疑い。
この問題は22年6月、君津市の同製鉄所周辺の水路と川で、水が赤く変色したり、魚の死がいが浮いたりしているのを住民が見つけたことから発覚。千葉海保によると、この変色などは、構内の破損したタンクから流れ出たアンモニアなどが含まれる「脱硫液」のせき止めが不十分で、水路につながる排水口から流出したことが原因だった。
その後の社内調査により、同年4~7月、ガス処理で発生したシアン化合物などを含む余剰水の一部が複数回、東京湾の海上に流出していたことも判明した。人への健康被害は確認されていない。
県は一連の問題を踏まえて23年8月、同社に対し、同法の順守徹底に向けた対策などを勧告している。
◆日鉄「再発防止に万全尽くす」
同社は書類送検を受けて「引き続き、関係当局の捜査に誠実に対応していく。事案発生後、再発防止のための諸対策を実施してきた。今後も再発防止に向けて万全を尽くしていく」とコメントした。