【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】パラダイスの夕暮れ 厳しい現実 心に宿る火

桜坂劇場に新しいホールができた。その名はホール+(プラス)。完成を記念し、これから毎月、アキ・カウリスマキ監督作品を上映する。
カウリスマキ作品の主人公は、いつも仕事を失いかけた労働者だ。資本主義社会に置いてけぼりにされた彼らは、常に不機嫌な顔をしていて、でも彼らの顔からは強さとしたたかさと命の存在が漂ってくる。
そこはかとない反骨の魂を漂わせ、困難をおかしみに変えながら、厳しい現実の中にささやかな火がともって終わっていく。
本作の主人公、ごみ収集車の運転手ニカンデルの不器用な恋も、きっとラブロマンスとしてはどうしようもない。でも絶対、心には小さな火がともってしまう。ホール+(プラス)は、資本主義の底辺でもがく桜坂劇場が、苦肉の策で設けた小さなホールだ。そこで映画を見た誰かの心に、小さな火がともったなら、これ幸いなり。(桜坂劇場・下地久美子)
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