【スターシアターズ・榮慶子の映画コレ見た?】リアル・ペイン~心の旅~ 生きづらさに寄り添う

“寄り添う”という言葉は響きはいいが、その行為は甚だ難しい。
いとこ同士の2人。性格は正反対。愛する亡き祖母の足跡を訪ねてポーランドへ旅に出る。それだけの映画だが、ユダヤ人迫害の歴史に思いをはせながらも、彼らの胸に去来するのは、今を生きることの困難さ。自由に生き、しがらみなどものともせぬベンジーだが、心に重い憂(ゆう)鬱(うつ)を抱える。仕事も家庭も順調だが、安定剤を手放せないデヴィッド。互いを羨みながらも疎ましい。でも、互いに構うことで自分が見える。
「誰にも煩わされずに1人」というのは楽かもしれないが、誰かのために心を砕く経験は得難いもの。2人の旅に同行しながら、身体を巡るさまざまな感情に身を委ねる。憂鬱も、誰かが思っていてくれることで軽くなる。
(スターシアターズ・榮慶子)
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