東武バス日光はヤマト運輸と協同し、東武日光駅~中禅寺温泉間の路線バスで、旅客と同時に宅急便を輸送する「客貨混載」を開始しました。この取り組みは、事業者だけでなく、地元の日光市にもメリットがあるそうです。
東武バス日光は2025年2月20日(木)より、ヤマト運輸と協同し、東武日光駅(栃木県日光市)と観光地・中禅寺温泉とを結ぶ路線バスにおいて、旅客と同時に宅急便を輸送する「客貨混載」を開始しました。この路線は、ヘアピンカーブが連続するいろは坂を通ります。
宅急便をバスで運びます!「世界遺産の町」で新たな取り組み “…の画像はこちら >>中禅寺温泉へ向かう路線バスに横づけするヤマト運輸の配送トラック。宅急便をバスへ積み替え、「客貨混載バス」となった(2025年2月20日、大藤碩哉撮影)
宅急便を積載するのは、東武日光駅前駐車場~中禅寺温泉バスターミナル間の約17.5kmです。積載にあたりバス車両の改造はせず、通常の荷物スペースを活用します。初日は駅前駐車場で、ヤマト運輸の配送トラックから観光バスへ宅急便を積み替える様子が報道陣に公開されました。
「客貨混載バス 宅急便も運んでいます」のロゴを掲出したバスの横に、ヤマト運輸のトラックが横づけすると、トラックの運転手は手際よく宅急便を積み替えていきました。今回の荷物数は17個とのこと。なお客貨混載バスは1日1便で、この後、利用客を乗せ温泉を目指します。ダイヤは東武日光駅15時13分発→中禅寺温泉15時58分着/16時03分発→湯元温泉16時38分着です。
日光エリアでの客貨混載は、双方の事業者だけでなく自治体にもメリットをもたらします。東武バス日光はバスの貨物スペースを活用することで、新たな収益源を確保できます。対して、ヤマト運輸は路線バスの運行区間と重複する配送区間において混載することで、集配トラックの走行距離削減による温室効果ガス排出量の削減を実現できます。
また、業務用車両が減少することで、日光市はいろは坂の渋滞対策にも効果があると見込んでいます。同市は2024年3月、事業者が脱炭素の推進に貢献する行動に積極的に取り組むとした「日光市地域循環によるゼロカーボンシティ実現条例」を制定しています。
東武バス日光の金井応季社長は「客貨混載を通じ、持続可能なCO2削減にしっかりと取り組んでいきたいと思います。これからも安全安心を最優先とする運輸事業者であり続けます」と話しました。
日光市の粉川昭一市長は、あいさつで「客貨混載は県内初の試みで、環境負荷を低減する先進的な取り組みです。業務用車両のシェアリングにより、いろは坂の渋滞対策にもつながると考えます。シェアリングエコノミーの推進が市内全域へ拡大し、脱炭素の取り組みが加速するよう、一層のご支援ご協力をいただければ」と述べていました。
客貨混載バスは1便が出発したばかりですが、今後ドライバーの担い手不足が懸念される中にあって、さらに増やしていきたいというのは、事業者の共通認識のようです。