ドラフト1位ルーキー・西川史礁外野手が石垣島キャンプで存在感を見せ続けている。とりわけ強烈なインパクトを見せているのが打撃。鋭いスイングで積極的にアプローチする姿が首脳陣の目に留まっている。そんな黄金ルーキーにとって、大事なターニングポイントとなったのは昨年3月、大学生ながら侍ジャパンの一員として出場した欧州代表との強化試合(京セラドーム)だ。
「最初、めちゃくちゃ緊張しました。大学生でプロの中に入ったので。でも大学時代にこの体験をできたことは、めちゃくちゃ大きかった。なかなかできる経験ではない。ありがたかった」と西川は回想する。
プロのトップ選手が集まっていた侍ジャパン。そこでさまざまな選手と話す機会を得た。どちらかというと、向こうから気を遣って話しかけてくれたと言った方が正しいかもしれない。中でもよく会話をしたのはスワローズの塩見泰隆外野手。「同じセンターを守っていることもあって、話をする機会が多かった。本当に気を遣っていただいて『大学は楽しいか?』とか話をしにきてくれた。そこから広がっていろいろなことを教えてもらいました」と振り返る。
そんな西川の出番は3月6日の第1戦。塩見の代走として五回に登場。そのままセンターの守備にも就き、頭上を越えそうな大飛球を背走しながらもランニングキャッチするファインプレーを見せて、ファンから喝采を浴びた。
「試合に出るまではめちゃくちゃ緊張をしていたのですが、あれで一気に(緊張が)解けた。走塁から入って守備をして打席に入って」と西川。打席では持ち味の積極性を見せ、1打席目で初球を打ち、三塁線を破る適時二塁打。「初球はずっと積極的に打っていこうと自分では思っています。それが自分のスタイル」と話す。2打席目の1ボールからストライクゾーンに入ってきた球を捉え左前打。結局、2試合で3安打。自信と手応えをつかんだ大舞台となった。なによりも目指しているプロの舞台で活躍するための目安を図れた期間となった。
「まだまだ足りないと思った。もっと大学残りの1年間を有意義に過ごそうと思った。なによりも一番は身体が違うなあと思った。めっちゃ大きく見えた。そこから食べる量を変えた」と西川。大学に戻ると食事量を見直し、ウエートトレーニングにも積極的に取り組みながら目の前で見たプロのボディーを意識し、身体を作るようになった。時は過ぎ、ドラフトでマリーンズに1位指名で入団をした。今、自慢の打撃でアピールする毎日を続ける。
「目標は新人王。ホームランは2桁をなんとかして打ちたい。そしてまた侍ジャパンのメンバーに選んでいただくことが目標です」と西川は未来を見据える。
2月4日には侍ジャパンを指揮する井端弘和監督がキャンプ地の視察に訪れた。西川はうれしそうに久々の日本代表の指揮官と再会を果たすと力強く握手を交わした。いつかまたあの舞台で。黄金ルーキーの夢は大きく広がっている。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)