自閉症の画家、石村嘉成の描く動物は色彩にとらわれず、その目は鋭くも優しい。
幼くして自閉症の診断を受けた嘉成。母は、自閉症児教育の専門家を信じ、わが子に根気強い療育を行っていく。その過程は愛と焦燥と希望と絶望がない交ぜになって、過酷さを極めた。そんな時、母は病に倒れる。
見ているこちらも「神も仏もないのか」と一緒に天を仰ぐが、嘉成は大好きな動物に大好きな色をまとわせて、彼だけの動物たちを生み出していく。
同じ母親の身としては、慈しんだ息子の成長を確かめる間もなく、逝かねばらぬ無念が全身を貫くが、彼の描く動物たちの存在の豊かさに、慈愛に満ちた母のまなざしを見る。「お母さん、ライオンみたいに優しくて強い人になるよ」と誓う嘉成の声が届きますように。
(スターシアターズ・榮慶子)
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