12月が間もなく終わりを迎えるが、仕事に追われる中、毎年この時期に支給される「冬のボーナス」を楽しみにしている人も少なくないのではないだろうか。
10日には国家公務員にボーナス(期末・勤勉手当)が支給された。地方公務員や民間企業の多くも同日に支給されたとみられ、SNSでは喜びの声も目立った。
中には支給がなかったという人もいるかもしれないが、実は民間企業にはボーナスの法的な支払い義務がない。一方、公務員の場合、その支給日や支給額は、法律や条例などによって定められている。
国家公務員のボーナス増額は3年連続、背景に人材不足も国家公務員のボーナスについて、内閣官房内閣人事局の担当者は「一般職の職員の給与に関する法律(給与法)に基づいて支給されている」と説明する。地方公務員の場合は、それぞれの条例に従って支給される。
支給日については、「人事院規則9140」で12月10日(夏は6月30日。いずれも日曜にあたるときは前々日、土曜にあたるときは前日に支給)と定められており、地方公務員や、多くの民間企業もこれに準じているケースが多いとみられる。
内閣官房内閣人事局によると、一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員、平均年齢33.1歳)に今年支給された冬のボーナスの平均額は約65万2800円だった。ただし、17日には、国家公務員の給与やボーナスを引き上げるための改正給与法が参議院本会議で可決・成立しており、今後、同法が公布・施行された際には、今回支給された分との差額分が支給され、平均額は約72万2000円になる見込みだという。
この金額は昨年比+約7.1%で、冬のボーナスは3年連続の増額。国家公務員の志望者減少と若手の離職が課題となっており、人材確保につなげたい構えだ。
なお国家公務員のボーナスは、人事院の調査による民間企業のボーナス支給状況をもとに支給月数が決められている(民間準拠)。今年8月の人事院勧告では、直近1年間の民間における年間支給割合について「4.60月」と報告されており、今回の改正給与法ではこの基準に見合うよう引き上げが行われた。
また、地方公務員の場合は自治体によって異なるため一概には言えないものの、一般的に国家公務員の支給実態に合わせるケースが多いとされている。
民間でボーナス支給額が多い業界では民間企業で働く人たちには、年末にどのくらいのボーナスが支給されているのだろうか。厚労省による統計は「毎月勤労統計調査」の2月分結果速報にあわせて公表されるため、昨年の支給状況を参照する。
主な産業別に見ると、平均賞与額の多いトップ3は、電気・ガス業80万3194円(前年比-0.3%)、情報通信業71万3851円(同+7.7%)、金融業・保険業64万5024円(同+3.8%)だった。
冬のボーナス、“官民”どちらが多い? 公務員「法律・条例」で…の画像はこちら >>
令和5年年末賞与の支給状況(事業所規模5人以上。厚労省「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等」より)
ただし、民間企業ではボーナスを支給しなくても、必ずしも違法となるわけではない。公務員と異なり法的な支払い義務がなく、支給の有無や支給額の算出方法などは、各社が独自に定めることができるからだ。そのため、自身の勤務先ではボーナスが支給されないというケースも少なくないだろう。
しかし民間企業でも、例外的にボーナスの支払い義務が生じることがある。就業規則に、ボーナスの支給基準が明確に定められている場合だ。
このようなケースにおいて、会社側がボーナスの減額や不支給を決定できるかは、個別の支給基準の内容によって異なる。ただ、正当な理由がなくこれらが行われた場合には、違法となる可能性が高い。無論、有給や育児・介護休暇を取得した人や、特定の労働者への嫌がらせを目的とした減額・不支給は言語道断だろう。
また、業績悪化を理由とする減額・不支給もありがちだが、就業規則に「企業の業績状況などにより賞与を支給しないことがある」といった留保が設けられていた場合は違法とならない可能性が高い。
賃上げの潮流に加えて、人口減少による慢性的な人手不足で官民問わず人材獲得競争が激しくなっており、今後も賃金やボーナス支給額は上昇していくとみられる。物価上昇も顕著だが、来年に期待して1年を締めくくりたい。