パンデミック(世界的大流行)を扱う作品は多い。今週末に桜坂劇場への来場を控えた井浦新さんの主演作「徒花(あだばな)」も、パンデミックという背景の下に描かれる。普段、人間が包み隠している本性をあらわにするのが、こういう極限状況だからなのだろう。
そういう作品のほとんどが「私とは関わりのないこと」として放置できない、自らの根っこに重なる部分を多く持っている。
人間が徐々に動物化していくという設定の本作。毛や羽や尻尾が生えるといった身体的変化から始まり、徐々に本能が獣化していく家族や隣人に、異変を来さない人間はどんな感情を抱き、どう接するのか。また、当人は自身の肉体の変化をどう受け止めるのか。
泣いてもわめいても、パンデミックは待ってくれない。現実も然り。生きるとは日々地獄。そして、映画は地獄に咲いた1輪の花でございます。 (桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】動物界 人間が動物化…の画像はこちら >>