これほど立て続けに事故や不時着、緊急着陸などの事態が発生するのは、市民感覚からすれば異常というほかない。
10月27日、陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイが与那国駐屯地で離陸の際、いったん浮上したものの揚力が足りず高度が低下し、バランスを崩して翼が地面に接触、機体を損傷した。
操作マニュアルでは、離陸時には必ず、エンジンの出力を上げるスイッチを押し、パイロット2人で確認することになっていた。
だが、今回は、それをしていなかったことが陸自の調査結果で明らかになった。操作マニュアルで定められた基本動作を怠ったのである。
搭乗者の到着が遅れたり搭乗人数が増えたことで「焦りから手順に抜けが生じた」のだという。
そのような理由で操作マニュアルが守れなかったこと自体の問題を、もっと洗い出すべきではないか。
搭乗者の中には米兵もいた。
今月14日午後、国頭村宜名真の牧草地に、米海兵隊の多用途ヘリUH1が不時着した。
豪雨被害の対応に追われていた村役場は、その現場にも職員を派遣せざるを得なくなった。
鹿児島県奄美市の奄美空港には14日午前、使用届が出されていない米軍の輸送機MV22オスプレイが相次いで2機着陸した
いずれのケースも、警告灯が表示されたため安全確保のため予防着陸した、というのが米側の説明だ。
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昨年は、回転翼のヘリやオスプレイのような垂直離着陸機の墜落事故が立て続けに起き、大きな衝撃を与えた。
昨年4月6日、陸上自衛隊の多用途ヘリが宮古島沖で墜落し、乗員10人が死亡した。
米空軍のCV22オスプレイが屋久島沖に墜落し、乗員8人が死亡したのは昨年11月29日のことである。
いずれの事故も乗員全員が亡くなるという重大事故だった。住民の不安は今も解消されていない。
米軍機の事故だけでなく自衛隊機の事故も目立つようになった。
事故や不時着、緊急着陸などのトラブルは沖縄だけにとどまらず全国各地で多発している。
このような事態は、かつて経験したことがない。日本が「基地国家」として大きな変貌を遂げつつあるのは明らかである。
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日米の軍事一体化が進む中で、自衛隊は敵基地攻撃能力を備えた「戦える組織」に急速に変わりつつある。
自衛隊施設の共同使用や日米共同訓練も活発になった。自衛隊や米軍による民間空港・港湾利用の動きも目立つ。
指揮・統制系統の一体化が進めば、米軍の戦況判断が優先され、日本の主体的な判断ができなくなるのではないか。その懸念が拭えない。
まともな国会論議もないまま日本は、憲法9条が「あってないような」社会に変わりつつある。