冬が旬のカキですが、年中生のカキが食べられるプロジェクトが進んでいます。
「生ガキ」が1年中食べられるかも? “漁師の勘”を補うアプリ…の画像はこちら >>
湯気に包まれた鍋。その中にはプリッとしたカキが!12月頃からが旬で「冬の味覚」とされていますが、実はこんな情報が…
「われわれのやり方の場合は、年中、春も夏も食べられるカキを作っている」Q夏にカキが食べられるかもしれない?「はい!」こう話すのは、早川尚吾さん37歳。徳島県に本社を置く、カキの養殖会社「リブル」の代表取締役を務めています。
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Qどれくらいのカキが?(早川さん)「いま大体、1万~1万5000個くらい」早川さんが、いま挑戦しているのは、愛知県蒲郡市でのカキの試験養殖です。
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養殖しているのは、飲食店などでよく見かける「真牡蠣」という品種。クリーミーな味わいが特徴です。1年通して研究するため、特殊なカキを使い、蒲郡の海では、どの時期が最も生育に適しているのか、データを収集しています。
(早川さん)「この海においては『夏の方がいい』というデータが、もしかしたら、とれるかもしれない」市や、地元の漁師と連携して養殖をすすめ、早川さんたちは、4年後に“生”でも食べられるカキを販売することを目標にしています。養殖方法には、ある名前がついているようで…
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(早川さん)「シンプルに、“スマート牡蠣養殖システム”という名前をつけています」カキのサイズや、個数など、その時々の生育状況をアプリを使って管理しています。
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(早川さん)「やみくもに作業したり、選別したりすればいいというものではなくて、『ちょっと今回はスキップして(作業を)次にまわしましょう』とか、最適なタイミングを見いだしていく」こだわるのは、できるだけ養殖作業を“効率化”させていくこと。(早川さん)「経験値が低い漁師でも、“漁師の勘”を持った状態で、養殖に取り組める」
そもそも蒲郡市といえば、アサリの産地として有名ですが、近年漁獲量は激減。海水の栄養分が減少したことなどの影響で、約10年前のわずか3%ほどにまで減ってしまいました。
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アサリがとれなくなったことにより、漁師の収入は減少。さらに、漁師の高齢化に伴う“担い手不足”という課題を抱えていました。この状況について、地元の漁師に聞いてみると…。
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(地元の漁師)「(私は)61歳で最年少。僕らで終わっちゃったらもったいない。新しくやってくれる人をつくっていきたい」そんな中、『効率的に経験が浅くても、カキの養殖ができる』という早川さんの提案を受け、市が動き出したのです。
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(蒲郡市産業立地推進室 坂口敏行室長)「先細りが見えている中で、なんとか現状を打開できないかなと思って、突破口になるんじゃないかと可能性を感じた」しかし、なぜ徳島の会社が、愛知でカキの養殖に挑戦することになったのでしょうか?
早川さんが向かったのは、10月末に名古屋の鶴舞にオープンした「STATION Ai」。新たな市場を開拓し、事業を立ち上げる「スタートアップ企業」の支援拠点で、日々、盛んに異業種交流が行われています。
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(早川さん)「自分の故郷でもある愛知から、東海エリアに拡大していきたいというのは、元々あった」実は、愛知県出身の早川さん。「STATION Ai」の開業を機に、名古屋にも拠点を置き、早速蒲郡市とのつながりもできました。そんな早川さんの奥底にある思いとは…?
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(早川さん)「カキは比較的、養殖がしやすい水産物。それをベースにして、若い人や今やっている漁師さんたちの(収入の)水準が、上がっていけばいいなと思って、カキを進めている」
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蒲郡で養殖しているカキは、詳しい生産タイミングや販売については未定ですが、漁師の生活を守りつつ、1年中、生のカキを食べられる日が来るかもしれません。