物事の核心に迫る「大石が聞く」。今回は髪を整える理容院=床屋さんと美容院、2つの業界の今を考えます。ほとんど同じ仕事なのに1つにできないのかを調べてみると、複雑な事情がありました。
“美容院”と“理容室”ほとんど同じ仕事なのになぜ別々?“顔そ…の画像はこちら >>
今や全国27万軒とコンビニの5倍もある美容院。男女問わず身だしなみへの関心が高まる中、成長を続けていますが課題も…。(大石)「(店内に)カラー剤は何種類ぐらいあるんですか?」(ASCH檀渓通店 山口修弘 店長)「100種類は超えています。徐々に値段は上がっていて、何度か値上げがある状態」
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名古屋市昭和区の美容院「ASCH(アッシュ)」。物価高騰や人手不足が進む中、業界の競争は激化しています。そして、ほぼ同じ仕事である理容院との違いも長年気になるところ。
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(大石)「美容院にしかできない美容院の売りは?」(ASCH檀渓通店 山口修弘 店長)「まつげの施術であったり、ヘアセットやお客さまへのメイク」(大石)「美容院ができなくて不自由していることは?」(ASCH檀渓通店 山口修弘 店長)「男性のお客さまが多くなってきていて、その中で言われるのが“ひげそり”。アドバイスはできるが、実際にひげに対してアプローチすることは難しくて。床屋さんに行ったら(カミソリを)当てて深ぞりしていくと思うが、美容師は許されていない」
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一方、床屋さん=理容院へ行ってみると…。名古屋市千種区の理容院「ヘアメイクかとう」。カミソリを当ててもらっていたのは女性です。(大石)「何が違うんですか?」(女性客)「触っても分かります。全然、お化粧乗りが違う」法律でカミソリを扱えるのは理容師だけ、美容師には認められていません。
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家族3人で経営するこの店には、月に50人から60人ほど女性が顔そりに来るといいます。(大石)「こういうイスは美容院にはないですよね?」(ヘアメイクかとう 加藤猛史 店長)「顔そりをするからリクライニングが付いています」(大石)「このイスは、いくらぐらいするんですか?」(ヘアメイクかとう 加藤猛史 店長)「80万円ぐらい、まだ安い方。一番向こうのものは110万円ほど」
しかし、理容業界にも課題が…。(ヘアメイクかとう 加藤猛史 店長)「(千種区の)理容組合を管理していたとき120軒あったんですけど、いま34軒。15年以上前ですけどね」
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それは深刻な後継者不足。美容師はこの10年で9万人増えていますが、理容師は逆に3万人減っていて、店の数も減り続けています。
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資格を取る人も、今や美容師の10分の1以下という深刻な状況。後継者がいる、この店は数少ない方です。
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(大石)「なぜ理容師に?」(息子 修平さん)「僕の場合はお父さんに誘われたというのが大きい。40年以上やっている大ベテラン」
課題に直面する理容・美容の両業界。それぞれのトップに伺うと。
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(大石)「何でこれだけ減っている?」(愛知県理容組合 坂野隆人 理事長)「やはり後継者不足というのは一つ。理容業界は値上げするということに、すごく抵抗のある業種」(大石)「(美容院との)客単価の差が影響ある?」(愛知県理容組合 坂野隆人 理事長)「若い人も入って来なくなる一つの原因」
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(愛知県美容組合 中尾博志 理事長)「人手不足で営業が大変だというのが現実。美容師の数が10年~20年経つと半分ぐらいになる。美容師の年齢層が高いから、これからは引退される人が増えていきます」そもそも戦後整備された法律で、理容師は容姿を「整える」。一方、美容師は容姿を「美しくする」仕事と違う定義づけがされ、カミソリが扱えるか、カラーリングやまつ毛のエクステができるかなど、できる業務にも違いが残されてきました。
こうした中、2018年から一度に両方の免許を取れるダブルライセンスが可能になりました。しかし、そのコースがある名古屋の理美容専門学校では…。
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(大石)「皆さんダブルライセンスの取得を目指している?」(学生)「両方持っておいた方が将来楽かなって」「どちらも選べるように取ろうと思った」
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(アリアーレビューティー専門学校 池山英一 校長)「両方取るという人も徐々に増えてきている。しかし、両方やって経営が成り立つという店は、まだまだ少ない」
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今の法律では、従業員全員に両方の資格がないと理容・美容両方の業務はできず、そうした兼業店は増えていないのが現実です。
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(ICDジャパン 大林博之 会長)「(世界では)日本が取り残されている状態なので、もう少し力を合わせられるといい」海外の数々の美容コンテストで優勝を経験した大林博之さんが「日本の理美容業界は遅れているといいます。
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(大石)「日本では理容と美容は法律も違うし、別という認識なんですが、世界的には一緒になっている?」(ICDジャパン 大林博之 会長)「美容も理容も一つになって、一つの世界で表現されてきています。両方の免許を取った人が一緒に働けるような。できれば一つの国家試験でいい」
改めて「理美容業の統合」について業界トップに聞くと…。
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(愛知県理容組合 坂野隆人 理事長)「組織的に理容も美容も減少していくなかで、タッグを組むということは大きな組織力につながる」(大石)「カミソリは美容師には渡したくないですか?」(愛知県理容組合 坂野隆人 理事長)「我々の宝ですね。得意分野」
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(愛知県美容組合 中尾博志 理事長)「理容美容の垣根を低くして、お互いに協力をしながら、この業界を盛り上げていく形になると非常にいいなと思う」今は法律の壁と、お互いの意識で分けられている理美容業界。しかし、その統合は両者の課題を解決する可能性もあるのです。