「あの人はサイコパスだね」。一見、自信にあふれ魅力的に見えるが、関わるほどに常識外れの冷徹さなどに驚かされる人物をさして、そう評する場面がある。
では、「サイコパス」とは具体的にどんな類型の人物なのか。実は明確な定義はない。「精神病質者」と訳されるが、それってなに?というのが実際のところだ。
本連載では、サイコパスについて、ビジネス心理学の第一人者でもある内藤誼人氏が、その特徴、対処法、存在が多い職業などについて、時にデータを交えながら解説する。
第四回では、相手がサイコパスなのかを見抜く、3つのポイントを紹介する。
※この記事は、内藤氏の著作『面白すぎて時間を忘れるサイコパスの謎』(三笠書房)より一部抜粋・再構成しています。
素人でも見抜くことは可能専門的な訓練を受けていないと、相手がサイコパスかどうかを見抜くことはできないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
カナダにあるデンバー大学のリアン・ブリンクは、刑務所に収監されている百名の男性と会話した様子をビデオに録画し、四十名の素人の大学生に見せて、サイコパスかどうかを見抜けるのか実験してみました。
その結果、まったくの素人でもサイコパスかどうかを正しく見抜けることがわかったのです。
さらにブリンクは、次の三点に注目すると正答率が上がることを突き止めました。
見破るヒント① 「偽りの笑顔」サイコパスは、特に面白い話をしていないときでさえ、にこやかな笑顔を絶やしません。愛想のよいセールスマンが、にこやかに営業をするときのような感じでしょうか。笑顔を絶やさないので、一見「さわやかな印象」を受けるかもしれませんが、それはあくまで「獲物を落とすための戦略」ですので、騙されてはいけません。
見破るヒント② 「身ぶり手ぶりの大きさ」サイコパスは、オーバーアクション気味にしゃべります。テレビのトーク番組に出演しているお笑い芸人のような感じでしょうか。身ぶり手ぶりが大きいので、つい話に引き込まれそうになりますが、それも「獲物を落とすための戦略」ですので注意が必要です。
見破るヒント③ 「乱暴な言葉遣い」サイコパスは、あまり上品な家庭に育っていないことが多く、一緒に遊んでいる友だちも社会階級があまり高くない傾向があります。そのため、どうしても素行の悪い人が使うような、乱暴な言葉遣いになってしまうのです。
俗語、卑語の使用頻度に注目偽りの笑顔や、身ぶり手ぶりの大きさなどは、本人が意識すれば特徴を消すことができる可能性があります。しかし、言葉遣いに関しては相当に訓練しないと矯正できません。ですから、ここに一番注目すれば、サイコパスかどうかを見抜けるのではないかと個人的には思います。
素行の悪い人たちにしかわからないような俗語や卑語、隠語のようなものを使ったり、「なんだか言葉が汚いな」と感じたりするようなら、相手がどんなに素敵な笑顔を見せていても、すぐに心を許してはいけません。
その笑顔の裏には、こちらをいいように振り回したいという下心が隠されているかもしれませんから。