神話の世界には特別な魅力がある。幻想みたいな夢みたいな物語なのに、肉体の奥底の根源のようなものとつながっている気がする。
倭文(しづり)とは、日本最古の織物の名前であり、日本書紀に登場する神様の名前でもあり、倭文神とはつまり天照大神のことを指しているのだそうで、天照の名が織物に宿っているなんて聞くと、神話や歴史がグッと肉体に近づいた感覚になる。
その織物の原料はカジの木だったのではないかと言われていて、カジの木という名称の由来は「かみ(紙)」の原料からきているらしいが、その「かみ」とは「神」とも言えないかしら。
神話から出発した倭文を知る旅は、カジの木を巡る旅になり、沖縄、台湾、インドネシア、パプアニューギニアへと広がっていき、いつしか神話と己とがつながっていく。(桜坂劇場・下地久美子)
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