「あの人はサイコパスだね」。一見、自信にあふれ魅力的に見えるが、関わるほどに常識外れの冷徹さなどに驚かされる人物をさして、そう評する場面がある。
では、「サイコパス」とは具体的にどんな類型の人物なのか。実は明確な定義はない。「精神病質者」と訳されるが、それってなに?というのが実際のところだ。
本連載では、サイコパスについて、ビジネス心理学の第一人者でもある内藤誼人氏が、その特徴、対処法、存在が多い職業などについて、時にデータを交えながら解説する。
第二回では、サイコパスがなぜ、理解不能なまでに冷徹なのかを考察する。
※この記事は、内藤氏の著作『サイコパスの謎』(三笠書房)より一部抜粋・再構成しています。
他人を「単なる物体」のようにみているサイコパスの世界には、自分しかいません。自分以外の人など存在していないのも同然で、他人を「単なる物体」のように思っています。
そのため、サイコパスは他の人の気持ちに配慮することがありません。自分だけの世界に住んでいて、「他の人のことなど、どうでもいい」と思っているのでしょう。
たとえば、友人と待ち合わせをしていて、大幅に遅刻してしまったとします。
普通の人であれば、「うわぁ、悪いことをしちゃった」と申し訳ない気持ちになります。しかし、サイコパスの人は何も感じません。待たされた人が、どれだけ不愉快な思いをしているかを慮ること、共感することができないのです。
周りに迷惑をかけても「それが何か?」「共感性の欠如」は、サイコパスに共通して見られる特徴のひとつ。
相手の気持ちに共感できないのですから、当然ながら罪悪感を覚えることもありません。他人に迷惑をかけても、悪びれずに平然としていることが多いのはそのためです。
周りに迷惑をかけても「それが何か?」がサイコパスの感覚です。
テストでもサイコパスが暴力的な結果が米国イリノイ大学のケーナ・メイジャーは、250名の成人(そのうち108名が女性)にサイコパステストを受けてもらい、過去一年間での親しいパートナー(恋人や配偶者)への暴力について尋ねてみました。
するとやはりというか、サイコパスで、特に共感性が欠如している人ほど、暴力を振るいやすいことがわかりました。
他の人に迷惑をかけているのに、「それが何か?」と涼しい顔をしているような人は、サイコパスの可能性が高いと言えます。そういう人には、とにかくできるだけ近寄らないことです。
「君子、危うきに近寄らず」とも言いますし、こちらに被害が及ぶ前に、さりげなくその人とは縁を切るようにしましょう。