中越地震から20年が過ぎました。中山間地の被災地が復興を遂げた意味を見つめ直そうと、この節目の年に新たに動き出す選択をした人もいます。
8月下旬の新潟県長岡市山古志種苧原地区。この日、キャンプ場で打ち合わせをしていたのは、山古志出身で高校3年生の時に被災した星野寿樹さん。【星野寿樹さん】「初イベント。近い将来、子どもがゼロになってしまうというのが見えてしまって、早く何かしらアクションしていかないといけないんじゃないかなと」現在は神奈川県に住む星野さんですが、ふるさとのことを考え、今年初めて企画したのが地域外の子どもたちを招いたデイキャンプの開催です。賛同者の協力を得ながら準備を進めてきました。【星野寿樹さん】「結局(参加者が)40人くらいになった。すごい!」リモートワークの普及など働き方が変わる中、自然豊かな山古志は魅力的な移住先の選択肢になると考え、その発信に取り組もうとする星野さん。活動のきっかけは2年前に遡ります。【小さな山古志楽舎 長島忠史 代表】「かっこいい先輩たちの姿を後ろからずっと見てきた。いい年になってきて、僕らも何か始めようということで」地域の若い世代でつくる“小さな山古志楽舎”がふるさとの未来を考えようと、おととし開いた会議。星野さんも神奈川から駆け付け参加していました。【星野寿樹さん(2022年)】「18年経って、さみしいというか、どうなっちゃうんだろうという気持ちがどんどん強くなっている」20年前、復興に向けた大人たちの決断を見てきた若者たち。バトンを引き継ぎ、ふるさとをさらに次の世代へつなげようと、地域の内外からそれぞれアイデアを出し合い、活動に取り組んでいます。
一方、こうした中で、今年1月に発生した能登半島地震では中越と同じように過疎が進む中山間地が大きな被害を受けました。財務省の諮問機関は「被災地の多くが人口減少の局面にある中、維持管理コストを念頭に集約的な街づくりの検討が必要」とする提言を発表。中山間地の復興のあり方が問われています。迎えた、星野さんが企画したデイキャンプ当日。イベントには長岡市などから多くの親子が参加。地元の人の協力のもと、子どもたちはバーベキューで使う材料を山古志の畑で収穫します。【協力する小池祐子さん】「こうやって子どもたちがお母さんと一緒に『また来ようかな』とか『たまに遊びに来ようかな』とつながっていき、もっとこの場所が広がっていけるといいなと」普段の生活ではできない大自然とのふれあいに子どもたちの笑顔があふれます。【子ども】「自然すごすぎて、いいなって」【子ども】「色んな野菜がとれて楽しかった」
喜ぶのは、キャンプに参加した子どもたちだけではありません。山に響く元気な声に地元の人も…【山古志に住む人】「こうやって子どもが畑に入って、(野菜を)とったりして喜んでいる姿というのは、なかなか見られないからありがたい。作っていてよかったなと思う」大きな被害から立ち上がったふるさとを未来へ…災害が多発し、復興のあり方が問われる今、星野さんは中山間地の被災地が復興を遂げた意味を再び見つめ直したいと考えています。【星野寿樹さん】「自然の中を走り回れるというのは、すごく特別な環境なんじゃないかと思う。人が多いエリアではできないことも、きょうはいっぱい楽しめたので、いいところをいっぱい見てほしいなとか、色んな人に知ってほしいなとか、魅力的な場所にしていきたいというのが今後の目標」高齢化が進むとともに人口が減る中山間地。それでも立ち上がったふるさとに思いを馳せ、それぞれが今できることに取り組んでいます。