結婚披露宴で絆の首里織 新郎新婦と招待客、会場で織りなす 那覇伝統織物組合が事業化へ

【那覇】結婚披露宴会場ではた織り機を使い、招待客が参加して首里織の「絆のタペストリー」を織る企画が9月21日、那覇市のダブルツリーbyヒルトン那覇首里城で試験的に実施された。挙式から披露宴までの空き時間を利用して挙式参加者の80~90人ほどが「横糸」を入れ、新郎新婦は披露宴会場で最後の仕上げを担った。那覇伝統織物事業協同組合が来年度に事業化する予定。(社会部・勝浦大輔)
企画のモニターを快諾したのは首里出身の新垣玲生(れい)さん(32)と妻の(旧姓大城)亜沙美さん(33)。披露宴の終盤で両親と並び謝意を述べる際に、出来上がったタペストリーを紹介。玲生さんは「私たちの大切な方々が一つずつ紡いでくださり、思い出の品となった。玄関に飾るので、いつでも遊びに来てください」と感謝した。
同組合が琉球びんがた事業協同組合と新たな活動拠点として「首里染織館suikara」を建てた2022年頃から、首里織を知ってもらおうと練られた企画の一つ。「来てもらう」ではなく、はた織機を持ち込んで「出向く」新しい体験型ツールだ。
那覇伝統織物事業協同組合の山里千佳子さん(59)は「一つの作品をみんなで作ることで、短い時間でも思いのこもった物ができるのではと組合内でアイデアが出た」と企画立案までの経緯を説明。実際に披露宴会場で実施した様子を見て「縦糸と横糸を編み布になる織物は、皆さんの出会いや絆が集まる様と重なる」と手応えを語った。
組合とブライダル企業との橋渡し役を担う「ちゅら婚ラボ」の安里庶司代表(37)は「ストーリー性のある企画で、沖縄の伝統工芸の価値を伝えていく上でも可能性を感じる。県外の方にも届けていきたい」と意欲を見せた。
事業は経済産業省の「伝統的工芸品産業支援補助金」を活用。組合は「絆のタペストリー」以外にも、ブライダル用のコースターや、あらかじめ織った布を額装して両親などに感謝を伝える寄贈品の商品化を予定している。結婚披露宴で絆の首里織 新郎新婦と招待客、会場で織りなす 那…の画像はこちら >>

披露宴終盤でタペストリーを紹介する新垣玲生さん(左)、亜沙美さん夫妻

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