【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】チャイコフスキーの妻 届かぬ愛 情念むきだし

「許さない」。それがアントニーナの口癖で、生き方で、人生になってしまった。
ロシアの天才作曲家、チャイコフスキーには、異性を愛することができないという秘密があった。それを打ち明けないまま、彼に心酔するアントニーナを妻に迎えた。そうとも知らず注がれるアントニーナの愛。そして愛は、注がれるだけでなく、注ぐことも求められた。
逃げても逃げても、アントニーナの愛は追ってくる。チャイコフスキーがアントニーナを拒み、さげすむと次は、神に誓った「結婚」を振りかざして追いかけてくる。
「許さない」。それだけをエネルギーに生きているうちに、きっと彼女は何に怒っているのかも忘れたに違いない。ただ怒り、離婚に応じず、そうやってでも愛し続けたかったのだろう。ある意味、彼女は愛に生きる人生を全うしていた。
(桜坂劇場・下地久美子)
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