国内最短のジェット機路線として知られているJTAの「那覇~久米島線」。同路線のジェット機運航便はプロペラ機運航便よりも、時刻上のフライト時間が5分長いという変わった性質を持ちます。今回、そのフライトに実際に乗ってみました。
国内最短のジェット機路線として知られているのが、JALグループのJTA(日本トランスオーシャン航空)が運航する「那覇~久米島線」です。その直線距離はわずか約94km。しかも同路線のジェット機運航便はプロペラ機運航便よりも、時刻上のフライト時間が5分長いという変わった性質を持ちます。今回、そのフライトに実際に乗ってみました。
「日本最短のジェット機路線」に乗ったら特殊すぎた! 「ダイヤ…の画像はこちら >>JTA「那覇→久米島」搭乗の様子(松 稔生撮影)。
那覇~久米島線は1日6往復。うち5往復はJTAと同じJALグループのRAC(琉球エアーコミューター)がプロペラ機(50席のDHC8-Q400CC)による定期便を飛ばしていますが、1往復だけはJTAのジェット機、ボーイング737-800(165席)による運航となっています。
同路線はJALグループが運航する沖縄本島~離島路線のなかでも、宮古島、石垣島に次ぐ需要を持っています。そのことから、多くの人と貨物を運べるよう、より大型のジェット機が超短距離路線にあてがわれているというわけです。
担当機であるJTAの737-800は機内Wi-Fiも装備しているほか、各席に充電用のUSBポートも設置されています。こういった短距離路線を担当する機体としては、ある意味異例の設備です。というのも、この機は本州~沖縄路線などある程度距離のある国内線も担当することが多く、客室設備もそれに合わせて作られているからです。
時刻上のフライト時間は40分です。取材日の天候は雨混じりで、大気の状態が不安定でした。そのため機内に入ると、CA(客室乗務員)の方から事前にベルトサインの消灯がなくフライトをする可能性が高いため、トイレなど先に行くようにアナウンスが流れます。ドアが閉まったアナウンスが流れたのは13時ちょうど。機体は13時12分に動き出し、21分に離陸しました。
離陸後のアナウンスによると、久米島空港到着予定時刻は13時45分。その後天候が想定より良かったのか、13時26分にベルト着用サインが消灯しました。しかしその直後「4分後に降下飛行に入る予定ですので、化粧室に行きたいお客様は早めにお済ませください」とのアナウンスが入ります。実際、サイン消灯からわずか5分後の13時31分に、再度着用サインが灯りました。
久米島空港への着陸は13時41分。機体が駐機場に止まったのは46分でした。飛んでいた時間はわずか20分、ということになります。到着後の機内アナウンスでは、フライト時間が短かったため機内サービスが提供できなかったことのお詫びと、その代わり降機時にキャンディを用意しているので、希望者は受け取るよう案内がありました。
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プロペラ機運航便のRAC「久米島→那覇」搭乗の様子(松 稔生撮影)。
なお、復路便である久米島→那覇はプロペラ機運航便を選択しました。ジェット機が使われるほど旅客数の多い路線なだけあって、50ある客席はほぼ満席です。18時30分に機体が動き出した同便は、39分に離陸。ベルトサインはフライトを通して消えず20分後の18時59分に那覇空港へと着陸し、19時07分に駐機場に到着しています。この日のフライト時間は、ジェット機もプロペラ機ともに「20分」だったのです。
なお同路線では、ジェット機運航便のほうが、ダイヤ上のフライト時間が5分長く設定されている理由についてJTAは「機材による運航高度の違いやスピードの違いによる大回り旋回の影響により、RACと運航時間が異なっております」と説明しています。
これに加えジェット機便は出発時、一旦駐機場からトーイングカーという車両でバックし所定の位置で止まり、そこで車両や機材を取り外してから滑走路へと向かうため、そこの作業時間が発生します。対しプロペラ機はトーイングカーを用いず、前進転回する形で動き出し、そのままダイレクトに滑走路へと向かいます。もしかすると、この作業時間の差も「ジェット機運航の方がプロペラ機より5分長くなる」一因かもしれません。