フリーランスで「年収1000万円」稼げる? おすすめの仕事や年収1000万円を達成するポイントを解説

フリーランスとして独立するなら、「年収1000万円」を目標にしたい人は多いでしょう。しかし、実際にはどのくらいの人が1000万円を稼いでいるのか、どの仕事なら達成しやすいのか色々と気になるものです。そこで今回は、フリーランスで年収1000万円を達成している人の割合や高収入を得やすい仕事、そしてフリーランスが年収1000万円を達成するためのポイントについて詳しく解説します。

■フリーランスで年収1000万円稼ぐ人の割合とおすすめの仕事
<フリーランスの13人に1人が年収1000万円稼いでいる>

フリーランスについて最も気になるのが「年収」でしょう。フリーランスで年収1000万円稼ぐ人はどのくらいいるのでしょうか。フリーランス協会が発表している「フリーランス白書2024」によると、フリーランス(パラレルキャリア活動者含む)のうち年収1000万円以上の人は全体の7.5%、約13人に1人という割合です。

こうした結果を見ると、実力次第で高収入が目指せるフリーランスといえども、1000万円以上稼ぐのは簡単ではないことがわかります。ちなみに同白書によると、最も多い年収は「200~400万円未満」(25.2%)、次いで「200万円未満」(23.7%)でした。

なお、国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のうち年収1000万円を超える人は全体の5.4%でした。また、給与所得者(正社員、正職員)の平均給与は523万円となっています。
<フリーランスで高収入が得やすいおすすめの仕事>

高収入を得やすいフリーランスの仕事としては、ITエンジニア、コンサルタント、クリエイティブ系・Web系の仕事などが挙げられます。これらの仕事は、専門性が高く市場での需要が絶えず、さらにはリモートワーク可能な案件が多いため、フリーランスとしての柔軟な働き方にも適しています。

・ITエンジニア

ITエンジニアとは、情報技術に関する専門知識を活用し、システムやITインフラの設計・構築・運用を行う仕事です。ITエンジニアにはシステムエンジニアやフロントエンドエンジニア、ネットワークエンジニア、プログラマーなどさまざまな職種がありますが、どの職種も実力次第で年収1000万円を稼げる可能性は十分にあります。

・コンサルタント

コンサルタントとは、クライアントの悩みを聞き、課題を解決に導く専門家です。コンサルタントには、経営コンサルタントやITコンサルタント、金融コンサルタントなどさまざまな職種があります。

コンサルタントとして高い収入を得るには、その業界に対する深い知識や理解が求められ、資格が有効な職種も多くあります。たとえば、ITコンサルタントなら「ITストラテジスト」、経営コンサルタントなら「中小企業診断士」「社会保険労務士」などを取得していると、高い専門知識の証明になります。

・クリエイティブ系・Web系

イラストレーターやグラフィックデザイナー、Webデザイナー、Webライター、ブロガーなどクリエイティブ系やWeb系の仕事も、実力や仕事量次第で年収1000万円を目指せる仕事です。ただし、上記2つの仕事に比べると難易度は高く、年収1000万円を超えるためには相応の努力が必要です。

また、他の職業と比べると資格よりはセンスが求められる傾向にもあります。そのため、スキルや実績を地道に積み上げ、信頼を得ていくことも大切です。
■フリーランスで年収1000万円を達成するには?

フリーランスは会社員と比べると年収1000万円を達成しやすいと言われていますが、フリーランスとして独立しただけでは高い年収を得ることはできません。フリーランスで年収1000万円を達成するには、どのような工夫や努力が必要なのでしょうか。
1.高単価、またはニーズの高い仕事を選ぶ

年収1000万円を目指すなら、高単価案件が得られる仕事やニーズの高い仕事を選ぶのが近道です。たとえば、IT系の仕事は誰でもできるものではなく専門スキルが必要ですが、その分高い単価の案件が見込めます。また、IT系の中でも、データサイエンティストといったAI分野で活躍できる職種はスキル保有者が少なく、高いニーズが期待できます。

高収入を目指して独立を検討している人は、まずは高単価が狙える仕事やニーズの高い仕事を見極めましょう。
2.専門性やスキルを高める

フリーランスとして高収入を目指すなら、常に専門性やスキルを高めることを心がけましょう。高い専門性やスキルがあるほど、人材としての希少価値が高まり、単価アップにつながりやすくなります。また、これまでの知識をブラッシュアップするのはもちろん、新たな技術を習得することも大切です。

フリーランスは自らの知識や技術を提供して報酬を得る働き方ですので、スキルアップは欠かさず行いましょう。
3.自分の得意なことを伸ばす

自分の得意なことを見つけて伸ばすのも有効です。先ほどもあったように、フリーランスは知識や技術を提供することで報酬を得る働き方ですので、苦手なことを克服して何でもまんべんなくこなせるより、得意な分野で知識やスキルを伸ばしたほうが多くの報酬が得られる可能性があります。

それに、得意なことを伸ばしていけば他との差別化ができ、フリーランスとしての価値を高めることにもつながります。フリーランスで高収入を目指すなら、自分が得意なことを見極める必要もあるでしょう。
4.時給を意識して働く

年収1000万円を目指す時、単に仕事量を増やすだけでは、時間と体力を消耗するだけで終わってしまいます。はじめは低単価の案件が多いかもしれませんが、スキルアップを重ね、徐々に高単価の仕事獲得を目指しましょう。同じ作業時間でより高い報酬が得られるようになれば、収入を増やすため、働く時間をやみくもに増やす必要はなくなります。

さらに、時間に余裕ができれば空いた時間をスキルアップに充て、より高収入を望めるでしょう。時給換算すると、自分はいくらで働いているのか意識し、単価アップを目指していきましょう。
フリーランスが支払う税金や社会保険料の種類
フリーランスで年収1000万円稼いでも、1000万円を丸々手にできるわけではありません。フリーランスで年収1000万円の場合、税金や社会保険料を支払うと、実際の手取り収入としては700~800万円程度となります。

フリーランスとして働く場合に支払う税金や社会保険料には、以下のようなものがあります。
<所得税>

所得税とは、1年間(1月1日~12月31日)に給料や事業などで個人が得た所得に対してかかる税金です。1年間の所得から、配偶者控除など各種の所得控除を差し引いた「課税所得金額」に税率を掛けて所得税額を計算します。
<住民税>

住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に対して納付する税金で、「所得割」と「均等割」の2つで構成されています。税額は前年度の年末調整や確定申告の内容に基づいて算出され、6月から納付が始まります。一般的に、会社員の場合は給与から源泉徴収されますが、個人事業主は市区町村などから送られてくる納付書を用いて納税します。
<個人事業税>

個人事業税は地方税(都道府県税)の1つで、青色申告特別控除前の事業所得が290万円を超えると課税される税金です。また、原則として「法定業種に当てはまる事業を営む」場合に対象となり、業種によって3~5%が課税されます。

個人事業主として開業届を提出していない場合も当てはまることがあり、事業所得だけでなく不動産所得や、場合によっては雑所得も対象になるため注意が必要です。
<消費税>

前々年の年間売上が1000万円を超えるなど、一定以上の金額を稼ぐフリーランスは「課税事業者」となって消費税を納める必要があります。消費税率には複数税率が用いられ、現在は標準税率(10%)と軽減税率(8%)が用いられています。

なお、年間売上が1000万円を超えない場合でも、「適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)」に登録している人は消費税の納付義務があります(インボイス制度対応のために課税事業者になった場合、軽減措置あり)。
<国民健康保険>

国民健康保険は、職場や組合の健康保険に加入しない人を対象とした健康保険です。保険料は同一世帯の被保険者の人数や被保険者ごとの所得、それぞれの市区町村が定める保険料率などによって決まります。
<国民年金保険>

日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金の被保険者となり、保険料を納める義務が生じます。会社を退職してフリーランスになり厚生年金から外れた場合、住所地の役所で国民年金への加入手続きを行う必要があります。なお、2024年度の国民年金保険料は、1ヶ月あたり1万6,980円です。
■フリーランスで手取りを増やすためにできる節税対策4つ

年収が1000万円になれば、支払う税金もそれなりの金額になります。最後に、フリーランスの人が手取り収入を増やすためにできる節税対策を4つご紹介します。
1.経費は正確に計上する

経費を正確に計上すれば、その分課税所得を下げ、節税につなげられる可能性があります。たとえば、自宅で仕事をする場合、家賃や水道光熱費の一部を家事按分で経費に計上できます。また、個人事業税や消費税など、事業に関連する税金も「租税公課」として経費に計上できる場合があります。

経費の計算や管理に時間が割けない場合、税理士に依頼することも検討しましょう。
2.対象となる控除を活用する

対象となる控除は余すことなく申請しましょう。控除を活用すれば課税所得を抑えられ、支払う税金を減らし手取りを増やすことができます。まずは自分が活用できる控除を確認し、申請方法も把握しましょう。
3.青色申告で確定申告を行う

より節税したい場合、確定申告は青色申告で行いましょう。青色申告には、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる、家族従業員の給与を経費に計上できるなどの節税メリットがあります。なお、青色申告を始めるには、定められた期日までに納税地の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
4.法人化する

フリーランスとして高い収入が得られるようになったら、法人化による節税対策も検討しましょう。個人事業主の場合、所得税率は所得に応じて5~45%で推移します。たとえば、年間所得695~900万円未満の税率は23%ですが、年間所得900~1800万円未満になると税率は33%に跳ね上がります。

一方、法人(普通法人)の場合、年間所得800万円以上の税率は23.2%です。そのため、年間所得が900万円を超える場合、法人化を検討したほうがより高い節税効果が期待できます。

さらに、法人化すると自らの収入も給与とみなして給与所得控除の対象になります。また、社長の給与は経費として売上から差し引くことができます。
■フリーランスでも工夫次第で”年収1000万円”達成の可能性がある

年収1000万円以上稼ぐフリーランスは7.5%と狭き門ですが、高額案件が得られる仕事を選んだり、専門性やスキルを身に付けたりすることで、十分に達成の可能性があります。また、フリーランスは会社員より納める税金が多くなる傾向にありますので、節税対策も欠かせません。収入アップを目指しながら、できる限りの節税対策も行い、手取り収入を増やしていきましょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら

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