名古屋市名東区で響き渡るサイレン。人身事故の現場に急行するため、パトカーが赤信号の交差点内に進んでいきます。次の瞬間、青信号を直進してきた車がパトカーに突っ込みました。
救急車のサイレンが聞こえない?緊急車両がヒヤリ…事故も「危険…の画像はこちら >>
警察官に、けがはありませんでしたが、車を運転していた女性が軽いけがをしました。緊急走行するパトカーや救急車は運転中に「いつ、どの方向から」やってくるか分かりません。
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(救急隊員)「救急車、道路中央 走行します。ご注意ください」道路交通法では緊急車両が接近してきた時、一般の車は道の端に寄るなどして、道を譲らなければなりません。(救急隊員)「交差点、進入します」現場に急行する救急車の前を走る車は皆、道をあけます。
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しかし…、こちらは愛知県豊田市の赤信号の交差点に入った救急車。赤色灯をつけ、サイレンを鳴らしながら進もうとしますが、前を横切る車が…。交差点を通過するのに10秒以上かかりました。
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去年6月には北海道で緊急走行中の救急車と乗用車が交差点で衝突し 横転する事故も発生。救急隊員にとって交差点の走行は特に気を使うといいます。(豊田市消防本部 安藤厚 救急隊長)「(Q:出動時に危険な場面に遭遇したことは?)結構あります。急ブレーキをかけて回避することが度々あります」
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さらに、こちらは救急車が側道から合流しようとした際の映像。車が道を譲ろうとはせず、なかなか進むことができません。高齢化を背景に救急車の出動件数は2022年には過去最多に。一方、通報を受けてから現場に到着するまでの時間は10.3分と、初めて10分を超えました。
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一分一秒を争う出動にも関わらず、この20年で4分遅くなっています。(豊田市消防本部 安藤厚 救急隊長)「少しでも道路状況を良くしてもらうことで、病院に到着することが早くなれば、医療を早く提供できるという部分で大変助かる。適切に譲ってもらうことが一番ありがたい」
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名古屋市名東区に鳴り響くサイレンとクラクション。偶然近くにいた警察官が交通整理に駆けつけます。交差点に近付いた救急車が、なかなか通ることができず、一般車両がクラクションを鳴らしていたようです。車の間を縫って、ようやく通過することができました。
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こちらも名古屋市内を走る車のドライブレコーダーの映像。交差点に進入するまで救急車に気付かず急ブレーキ。(ドライバー)「聞こえないものですね」ドライバーにはサイレンの音が聞こえていませんでした。
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最近の車は防音性能に優れていることも一因のようですが、消防によりますと、救急車のサイレンは、音が前後に伝わるように設計されているため横の方向には聞こえにくい場合があるといいます。何とか注意を引きたいと、豊田市の消防では赤信号の交差点ではサイレンの音を変えるほか、拡声器でも呼びかけます。
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(救急隊員)「救急車、赤信号進入します。安全確認のため一時停止します」(豊田市消防本部 安藤厚 救急隊長)「ハザードをたいてもらって、ゆっくり道の路肩で止まっていただいて、状況を確認した後で少しずつ移動してもらうのが一番いいかなと思います」
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こうした中、救急車の存在を知らせる最新技術「ITS(アイティーエス)Connect(コネクト)」の開発が、自動車各社の協力で進められています。トヨタ自動車は無線技術を使ってドライバーに緊急車両の接近を知らせるシステムを実用化。「ITS Connect」を搭載した救急車が緊急走行をしている際に電波を発信し、同じシステムを搭載した車に位置や方向を知らせます。
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これによりドライバーは、いち早く救急車の存在を把握してよけられるのです。2018年に名古屋市と豊田市の公道で行われた実証実験では「ITS Connect」を搭載した救急車の緊急走行時間が平均で7.7% 短縮されました。
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(ITS Connect推進協議会 西川美津江さん)「車の遮音性が上がったりして、音はするけれど、どっちから(緊急車両が)来ているか分からない。ITS Connectを使っていただくことでスムーズな運転行動が期待できます」
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この機能が搭載されているのは救急車で全体の約2割、一般車両はまだ40万台ほど。一般車両は250台に1台の割合でしかなく、普及には時間がかかりそうです。緊急出動の現場が抱える「到着の遅れ」という大きな課題。技術は日々進歩していますが、何よりも大切なのは、落ち着いて道を譲る意識なのです。