パリッコのおつまみ革命 第53回 【タイっぽ料理】 「麻婆春雨」に味つけを任せた「クンオップ麻婆ウンセン」、濃厚海老スープとそれを吸った春雨が絶品!!

しばらく前に、タイ料理屋で初めて食べた「クンオップウンセン」という料理の美味しさに感動しました。

それは、たっぷりの豚肉、貝、セロリ、にんにく、しょうがなどが入った具だくさんの春雨の上に、大きな海老をのせて鍋で蒸した料理。

海老はもちろん、その旨味をたっぷりと吸った春雨が、むしろ主役と言ってもいいくらいに美味しいんですよね~。

そこで家でも似たものが作れないかレシピを調べてみたところ、タイ産のオイスターソースや、「シーユーカオ」「シーユーダム」といった醤油類、万能調味料の「シーズニングソース」などを使うと本格的な味わいになるとか。ただ、今家にないそれらを輸入食材店で揃えるのはちょっと手間だし、今後日常的に使うかどうかもわからない。

ところで、タイ語で「クン」は海老、「オップ」は蒸し煮、「ウンセン」は春雨を意味するそう。つまり直訳すると「海老と春雨の蒸し煮」。ならばここは開き直って、思いっきり手抜きのアレンジを加えてしまい、味つけをすべて市販の「麻婆春雨」にまかせてしまうのはどうでしょう。

そりゃあタイ風の味わいにはならないだろうけど、それはそれで美味しいに決まってるはず。名づけて「クンオップ麻婆ウンセン」。作ってみましょう。
○調理はものすごく簡単

というわけで、麻婆春雨を買ってきました。

クンオップウンセンはそんなに辛い料理ではないので今回は甘口を選びましたが、当然お好みで中辛や辛口でもいいでしょう。

そして海老は、お手頃で見た目が華やかな「アルゼンチン赤エビ」をチョイス。

もちろんここもお好みの海老でいいし、気軽にむき海老を使うのもあり。

海老は殻つきのまま、竹串などで背わたを抜いておきましょう。

それからもうひとつ、この料理の影の主役とも言えるセロリの茎。1/2本ぶんほどを刻んでおきます。それとは別に、仕上げに上にのせたい葉っぱ部分も適量刻んでおきましょう。

そうしたら鍋に、パッケージの記載量である水400mlをわかし、セロリと海老を入れます。ちなみに海老、想像以上にサイズが大きくて、あとから春雨を入れることを考えると、3尾が限界でした。

あくがけっこう出るので適宜すくい、さっと火が通ったら春雨を入れ、箸でほぐして「麻婆ソース」を投入。このとき、お好みでチューブにんにくやしょうがをプラスしてもいいでしょう。

全体に火が通れば完成。

というわけで、あまりにも簡単にそれっぽいものができてしまいました。予想外だったのは、色味のせいか、見た目がかなり本家クンオップウンセンに近いこと。

肝心の味のほうはというと、やはり本家とは別ものです。けれども、ベースが間違いのない麻婆春雨ですからね。加えて、海老みそが溶け出したのか、妙にスープがクリーミー。この海老風味たっぷりまろやかスープが、ものすご~くうまい! セロリの爽やかな風味と食感もいいですね。

そしてなにより、主役の海老の存在感。その味が染み込んだ春雨がたまらないごちそうと化しているのも、本家クンオップウンセンと同じ。ひとつの料理として、かなり完成度が高いと思います。ここに辛さやパクチーなんかを足して、よりタイ料理っぽくアレンジしても楽しそう。

それにしても、ほんの数百円でこのぜいたく感。この料理、かなりありなんじゃないでしょうか。
○【材料】

・市販の麻婆春雨:1袋
・お好みの海老:好きなだけ
・セロリ:1/2本
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。
○【作りかた】

1.鍋に400mlの湯をわかし、刻んだセロリ、背わたをとった海老を入れる。
2.ざっと火が通ったら、春雨を入れてほぐす。
3.付属の「麻婆ソース」を入れて全体をよく混ぜる。
4.皿に盛って、仕上げにセロリの葉をのせる。

パリッコ ぱりっこ 1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。 この著者の記事一覧はこちら

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