SLトーマス号を運行する大井川鉄道の新社長に鳥塚亮氏 いすみ鉄道など再生請負人「可能性ある地域」

大井川鉄道は28日、定時株主総会を開き、鳥塚亮新社長の就任を承認した。30日で64歳になる鳥塚氏は静岡・島田市内で会見を行い、「非常に面白く、可能性がある地域。コンテンツが埋もれている。どう掘り起こしていくか、ワクワクしています」と意気込みを明かした。
鳥塚氏は明大を卒業後、学習塾講師から大韓航空に入社。その後、航空関連の仕事を経て、2009年に千葉・いすみ鉄道の社長公募に応募。124人の中から就任すると、「ムーミン列車」や駅名ネーミングライツ、枕木オーナーなど様々な企画で苦境にあった鉄道会社を全国区に押し上げた。また、19年には新潟・えちごトキめき鉄道の社長に就任。観光列車「雪月花」を展開するなど、観光客を呼び込んだ。
大井川鉄道ではSL「きかんしゃトーマス号」の運行が今年で10周年を迎え、SLファンには根強い人気を誇る。再生請負人の異名を取る新社長は「過去、グルメ列車で成功した。静岡は食が豊富。客単価が高いものをやれれば」と私案を明かした。
その一方、22年9月の台風被害から、大井川本線(39・5キロ)の半分にあたる川根温泉笹間渡―千頭間は、いまだに不通。全線復旧には22億円かかると試算され、3月には県を中心とした検討会で「早期における運転再開を目指す」という方向性が確認された。しかし、復旧時期は決まっておらず、再度被害が発生した際の対応策も固まってはいない。
「沿線住民の方には『自分たちに関係ないから(大井川鉄道は)いらない』ではなく、(過去2社の)両方で鉄道はいろんな使い方ができると理解していただいた。同じやり方が通用するとは思ってない。私自身が地域に入って溶け込んでいきたい」。経営面では難題が山積するが、豊富な経験を生かして静岡に新風を吹かせる。

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