“檸檬堂らしい無糖”を目指した「甘くない檸檬堂」新発売 – 開発のポイントは「引き算ではなく足し算」

コカ・コーラシステムは、レモンサワー専門ブランド「檸檬堂」から、食事に合わせるために開発し、いつものおかずをより美味しく引き立たせ、みずみずしいレモンを存分に楽しめる「甘くない檸檬堂 無糖レモン」を2024年5月27日より全国で発売するのに先駆け、「甘くない檸檬堂 新製品発表会」を開催した。

○「お酒を嗜まれるお客様のアルコール人生」に注目

「5年前、私どもコカ・コーラは、大きなチャレンジへの一歩を踏み出しました」と、日本を世界に先駆けて、アルコールカテゴリーに参入する市場として選び、九州地区でのテスト販売を経て、2019年10月に「檸檬堂」を全国発売した当時を振り返る、日本コカ・コーラ マーケティング本部 アルコール事業本部 事業本部長の福満静儀氏。そして、レモンサワー専門ブランドとして、新しいカテゴリーを創出した「檸檬堂」は、消費者はもちろん、カスタマーからも差別化された非常に良いブランドとの評価を受けているとの認識を明かす。

発売から5年が経ち、より多くの消費者のニーズ、ライフステージに寄り添ったラインナップを揃えるにあたり、改めて「お酒を嗜まれるお客様のアルコール人生」に注目。20歳で飲み始めて、10年、20年と月日が経つに連れて、飲む環境や好みなどが変化していく中、「檸檬堂は、こうしたお客様のアルコール人生に寄り添って、今も、その先も、どんなときも楽しんでいただけるブランド、愛されるブランドへと、進化していきたい」と決意を新たにする。

「甘くない檸檬堂」が参入する無糖系酎ハイ市場は成長市場だが、これまでの市場の成長を牽引してきたのは、主に40代、50代の支持によるもの。しかし、アルコール人生において、お酒の飲み方やお酒に求めるものが変化してくるのは30代前後であり、それが、食事に合わせる、甘くないお酒を探し始める時期であることから、40代、50代はもちろん、もう少し若い世代が魅力を感じる製品を展開していくことで、「無糖酎ハイ市場をさらに活性化していくことができる」との見解を示した。

そこで、消費者にぴったりと合う製品を見つけやすいラインナップを作り上げるために、檸檬堂は今後、サブブランド戦略を実施。これまでの檸檬堂に加えて、期間限定で味わうことができる「季節の檸檬堂」の展開を予定し、さらに「甘くない檸檬堂」とノンアルコールの「酔わない檸檬堂」をあわせて展開していくという。

「無糖製品はあまり美味しさが期待できない」といった消極的な意見が多い中、「せっかくお酒をいただく時間に、これはもったいない」という福満氏。そしてこのことが、「甘くない檸檬堂」を作るに至った経緯であり、それゆえに「『甘くない檸檬堂』は、レモンを知り尽くした檸檬堂が本気で作った美味しい無糖である」と続け、どんなおかずにも合う味わいを目指した結果、「食事が美味しくなり、食事の時間がより楽しくなる無糖製品になった」と自信を覗かせた。

なお、コミュニケーション施策では、イメージキャラクターとしてお笑い芸人の有吉弘行を引き続き起用。「いつものおかずに、めちゃウマ無糖。」というキャッチコピーとともに展開され、テレビCMは発売日翌日の5月28日より放映予定。同じテーマで、様々なデジタル施策や店頭施策も展開される予定となってる。

檸檬堂らしい無糖とは?
続いて、「甘くない檸檬堂」の製品開発を担当したコカ・コーラ東京研究開発センター 製品開発部 サイエンティストの矢野寛明氏が、「甘くない檸檬堂」で採用された新製法や開発秘話を紹介する。

「甘くない檸檬堂」が目指したポイントは、「檸檬堂らしい無糖を開発すること」、そして「食事をもっと美味しくする味わいを目指すこと」の2点。これまでの檸檬堂が評価されてきた“濃厚な味わい”が、無糖になることで失われてしまわないよう、檸檬堂らしい自然なレモン感を持った無糖酎ハイの開発が進められた。

檸檬堂における無糖への挑戦は、2020年に発売された「檸檬堂 カミソリレモン」から始まっており、今回の「甘くない檸檬堂」はその集大成。開発期間は3年以上、総試作回数は500回以上となっており、「ようやくたどり着いた新製品」と、矢野氏は笑顔を見せる。無糖酎ハイと聞くと、普通の酎ハイから単純に糖を抜くだけと思われがちだが、実際に、定番の製品から糖だけを抜いてみると、「まったく美味しくない」という矢野氏。その理由を吟味したところ、「あと残りする果汁感が、無糖酎ハイにおいては味が重すぎて苦みを引き出す」ということがわかったという。

檸檬堂がこだわりにしている濃厚な果汁感が、逆に無糖においては、味を邪魔していることがわかったことから、味の邪魔をする要因をひとつずつ抜いてみたところ、抜けば抜くほど味がスッキリし、無糖らしい味わいになるが、檸檬堂らしさは失われていく。一方で、檸檬堂らしさを残すと、今度は逆に無糖らしさが失われるという二律背反に陥り、「一時は迷宮入りしてしまったこともあった」と振り返る。

そこでいったん、すべてを白紙に戻すことを決意。これまでは檸檬堂らしさを大事にするあまり、今ある檸檬堂を出発点にして引き算で製品開発をしていたのに対し、今度はゼロから積み上げて、足し算で作っていく考え方に切り替えられた。

これまでに使っていた檸檬堂の原料、さらには、これまで検討してこなかった原料をすべて実験台の上に並べて、無糖の檸檬堂に必要な原料な何かをひとつひとつ吟味。その結果、「今までは見えてこなかったことが見えてきた」という矢野氏。

「絶対に檸檬堂には必要だと思っていた原料が実はいらなかったり、逆に檸檬堂にはいらないと思っていた原料が、檸檬堂らしさに寄与したり。考え方を切り替えてからは、檸檬堂の無糖が着々と積み上がっていく手応えを感じました」と開発を振り返る。檸檬堂が今までずっと大事にしてきた、丸ごとすりおろしたレモン果汁をお酒につけこむ「前割りレモン製法」が、檸檬堂らしい果汁感を付与するのには不可欠な原料であることがわかり、「檸檬堂の原点はここにあることが再確認できた」という。

その一方で、「前割りレモン製法」だけでは、檸檬堂らしい果汁感、もっと食事に合う味わいに何かが足りないことから、新たな原料の開発に着手。最終的に、新開発のレモンエキスにたどり着く。このレモンエキスは、「前割りレモン製法」を参考に、無糖に合う形に進化させたもの。「前割りレモン製法」は、丸ごとすりおろしたレモン果汁をお酒につけこみ、なじませまることで、レモン丸ごとの複雑味のある本格的な味わいを楽しむことができるが、無糖においては、この複雑味が雑味に繋がってしまう。

そこで、丸ごとすりおろしたレモン果汁をアルコールにつけこんだ後、雑味を取り除くために丁寧にろ過し、極限まで雑味を取り除くことで、レモンの美味しさが凝縮されたレモンエキスが作り上げられた。そして、ここまで足し算で積み上げきたものに、このレモンエキスをさらに足すことによって、「甘くない檸檬堂」が完成に至ったという。

「『前割りレモン製法』に、レモンエキスが加わることで、無糖なのに檸檬堂らしい果汁感を付与することができた」という矢野氏だが、レモンエキスは、もう一口飲みたくなる美味しさを付与できるというところも大きなポイントだという。「無糖酎ハイはどうしてもキレの良さが望まれがちですが、今回はあえて、少しだけ心地の良い余韻が残るような設計にしています。あえて、すべてを洗い流さず、そしてちょっとだけ余韻が残る。その余韻がくせとなり、またもう一口飲みたくなる。そんな味わいを目指しました」とのことで、この余韻は、食事をもっと美味しくしてくれる。

檸檬堂らしい無糖を考え抜いた結果としてたどり着いた「甘くない檸檬堂」。最後に矢野氏は、「おかずを食べて、『甘くない檸檬堂』を飲むと、心地よい余韻が口に残り、その余韻がまたおかずに箸を伸ばさせる。そんな美味しさを実現できたと考えています」と、あらためて「甘くない檸檬堂」の仕上がりをアピールした。

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