新潟地震から6月で60年です。当時の様子を撮影していた男性が、写真展を開く準備を進めています。そこには今年の能登半島地震の衝撃と「記憶を伝えたい」という強い思いがありました。
ボロボロになったアルバム。貼られていたのは60年前の新潟地震直後の写真です。
撮影したのは新潟市中央区の近藤武夫さん(82)。当時22歳の会社員でした。
【近藤武夫さん】
「いやすごいな、これはすごいな、こんなことが起きるんだと。私がいる市内も毎日ずっと1週間以上、(火事の)煙がただよっていた。その恐怖というのがすごかった」
1964年6月16日に発生した新潟地震。
下越沖を震源とする最大震度5の揺れにより津波・火災・液状化と大きな被害がもたらされました。
【近藤武夫さん】
「いまのNTT、昔の電電公社のあたり。それから萬代橋。そこにちょうど(新潟)国体が終わったばかりだったから、国体の歓迎の看板。それが傾いている」
勤務中の地震で屋外に逃げた近藤さん。街の被害の大きさに衝撃を受け、趣味にしていたカメラで市内を撮影して回りました。
中でも印象に残っているのは液状化の被害です。
【近藤武夫さん】
「いまの音楽文化会館のところ、それから県民会館のところ、それから一番大きかったのは陸上競技場の中。あの周辺はものすごい水がぱーっと出た」
当時の様子を鮮明に伝える写真で近藤さんは6月、写真展を開くことを決意。きっかけは今年1月に発生した能登半島地震でした。
【近藤武夫さん】
「伝えなきゃいけない。能登半島地震がきっかけとして、これは本当に新潟地震のことを忘れちゃいけないんだと。自分がいま住んでいる場所が昔こうだったんだということをちょっとでも感じていただけたらありがたい」
写真展は6月1日から新潟市中央区の県民会館で開かれます。