神戸市立王子動物園で飼育されていた雌のジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」が、3月31日に死んだ。28歳で人間では80代に相当し、国内最高齢。コロナ禍や心臓疾患のため中国に戻ることはなく、来日から23年半過ごした神戸の地で生涯を終えた。
1995年7月生まれのタンタンは、2000年7月、阪神・淡路大震災の被災地に明るさをもたらす期待と、日中共同飼育繁殖研究の目的で来日。短めの足と丸く小柄な体、タイヤにすっぽりはまって座ったりする愛らしいしぐさで“神戸のお嬢様”として親しまれた。
ともに来日した雄の初代「コウコウ(興興)」はのちに雌だと発覚し中国に帰国し、2002年に来日した2代目の「コウコウ(興興)」と繁殖に臨んだが、1度は死産、2度目は3日後に死亡し繁殖には至らなかった。出産時期の夏になるとニンジンなどを子供のように抱く姿があった。
「コウコウ(興興)」は10年に死亡し、その後は「タンタン」1頭で過ごしてきた。飼育期間満了に伴い20年に中国返還が決まったがコロナ禍で実現せず。心臓疾患が判明したため治療が続き、公開も中止され返還も延期が続いていた。
公開中止の期間は神戸市立王子動物園公式X(旧ツイッター)が「#きょうのタンタン」として様子を毎日投稿。愛のこもった「#また明日ね」で締められる投稿を通じ、ジュースを飲んだり、涼しいところで過ごす様子を伝えてきた。しかし体調管理の専念を理由に3月20日には投稿休止が発表されていた。