千葉県内で今年、労働災害により死亡する人が相次いでいる。2月末までに10人が亡くなり、死亡事故発生件数は過去20年間で2番目に多く、特に建設業での事故が目立っている。千葉労働局や千葉労働基準監督署などは頻発する事故に危機感を募らせており、12日には千葉市中央区のビル新築現場をパトロールし、事故防止対策の徹底を呼びかけた。
同局によると、2月末時点で工事現場などで発生した死亡事故は昨年同期比で倍増の10件起きている。内訳は建設業が最多の4件、製造業3件、卸売業などのその他事業で2件、運送業1件だった。建設業での死亡事故は過去20年間で過去最多を記録し、2月だけで4件発生した。
県警などによると、千葉市美浜区の山崎製パン千葉工場で2月24日、ベルトコンベヤーと搬出装置の間に落ちた加工品を取ろうとした60代女性が、腕や上半身を装置に巻き込まれ死亡した。建設業関係では、同26日に市川市で下水道交換のため掘削溝に入り作業をしていた男性が、溝側面が崩落し生き埋めになり亡くなった。
死亡事故が増えている現状について、同局健康安全課の担当者は「新型コロナウイルスが落ち着き経済が回復しつつあり、外国人など技能や経験が不足している労働者が増えてきたことが要因の一つと考えられる」と説明した。労働者の高齢化も影響しているとみられる。
頻発する死亡事故を受け、同局の岩野剛局長らが12日、千葉市中央区のビル新築現場を緊急パトロール。足場のない場所で作業を行う際の安全対策などを確認した。岩野局長は「死亡災害撲滅のために災害を絶対させないという意識のもと、一人一人が安全対策に取り組んでほしい」と訴えた。