コーヒー好きな人でも「ドリップするのが面倒…」という人は、インスタントコーヒーを使っているでしょう。
このインスタントコーヒーですが、原材料はなんなのでしょうか。
そこで、原材料についてUCCグループのコーヒー専門教育機関『UCCコーヒーアカデミー』専任講師の村田果穂(むらた・みほ)講師に取材しました。
『UCCコーヒーアカデミー』の村田講師
村田さんにうかがったところ、インスタントコーヒーの原材料は「コーヒーのみ」とのことでした。
では、コーヒー豆からどのようにしてインスタントコーヒーになるのでしょうか。
実は、インスタントコーヒーの製法は途中まで、私たちがコーヒーを入れるのと同じ手順を踏みます。
コーヒーの生豆を焙煎し、粉砕、抽出し、抽出液を作り、そこからその抽出液を乾燥させることでインスタントコーヒーといわれるものになるのです。
インスタントコーヒーを作る時も、コーヒー粉にお湯をかけて抽出液を作ります。できた抽出液を乾燥させるのですが、この乾燥工程で製法が大きく2つに分かれるといいます。
1.スプレードライ(噴霧乾燥法):熱風中にコーヒーの抽出液を噴霧して、瞬時に水分を蒸発させ、乾燥粉末にする。
2.フリーズドライ(真空凍結乾燥法):いったん抽出液を凍結させてから真空中で水分を蒸発させ、乾燥粉末にする。
上記のような乾燥工程を経てできた粉末が、インスタントコーヒーになります。ざっくりいえば、熱するか冷却するかで製法が分かれるわけです。
まとめると、インスタントコーヒーは、コーヒー豆(焙煎豆)を粉砕したもの(コーヒー粉)とお湯でいったんコーヒーを作り、その抽出液を最後乾燥させるという方法で作られています。
『1』のスプレードライを用いると、さらさらなパウダー状の製品になり、『2』のフリーズドライを用いると砂礫(されき)のような粒状の製品になります。
インスタントコーヒーにパウダー状のものと砂粒状のものがあるのは、乾燥工程による差で生まれており、風味や味わいの差を生むことにもつながっています。
『1』のスプレードライ(噴霧乾燥法):熱風で乾燥するので、力強く濃厚な味になる。
『2』のフリーズドライ(真空凍結乾燥法):熱を加えないので、豊かな風味が残る。
簡単にいえば、インスタントコーヒーとは、いったん入れたコーヒーの抽出液を固体の形に凝縮して水分をしっかり飛ばしたもの。これをお湯で溶いて液体に戻し、飲んでいるというわけです。
村田さんにうかがったところ、インスタントコーヒーにはたくさんのメリットがあるそうです。
【インスタントコーヒーを使うメリット】
・カップがあればOKで、ほかの器具をそろえる必要がない手軽さがある。
・お湯を注ぐだけなので、手間が少ない。抽出後にコーヒー粉を片付けなくてもいい。
・レギュラーコーヒーだと約1年、インスタントコーヒーでは3年(瓶製品)、2年(袋製品)と賞味期限が長い。※製品によって異なる。
・1杯に必要な量が少ないので、場所を取らない。(レギュラーコーヒーは約12グラム、インスタントコーヒーは2グラム)
・保存が楽で、常温保存でも香味が出しやすい。贈り物にも適している。
・誰が作っても同じ味になるという、再現性が高い。
・携帯しやすくコンパクトに持ち運べて、旅行やキャンプなどに便利。
インスタントコーヒーには、コーヒーしか使われていないとは驚いた人もいるでしょう。
混ぜものがまったくないので、ある意味良心的な製品といえるかもしれませんね。
UCCコーヒーアカデミー
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]