東京オートサロン2024に一風変わったミニバンが展示されていました。外見はトヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」そのままですが、車内には驚きのシステムを搭載。実は将来のミニバン需要を見越したもののようです。
パナソニック オートモーティブシステムズは、2024年1月12日(金)から14日(土)まで千葉県幕張メッセで開催されていた「東京オートサロン2024」にて、トヨタの高級ミニバン「アルファード」をベースにしたコンセプトカー「WELL Cabin concept」を展示しました。
会場にはトヨタ「アルファード」と姉妹車「ヴェルファイア」の2台が展示され、それぞれに「WELL Cabin concept A」と「WELL Cabin concept B」の名称が付けられていました。
アルファードをレクサスLM並みにする? ドデカ “車内ディス…の画像はこちら >>「東京オートサロン2024」に展示されたアルファードベースの「WELL Cabin concept A」(布留川 司撮影)。
この2車種の特徴は車内にあります。運転席より後ろの後席部分を特別仕様に改装しており、運転席と後席の間に55インチの有機EL(オーレッド)透明ディスプレイを隔壁のごとく設置。さらに3Dハイレゾリューション対応のオーディオ・スピーカーをシートのヘッドレストに装備していました。
シートにはサウンドに合わせてバイブレーションする機能や、搭乗者をリラックスさせるアロマディフューザーまであり、映像や音響を五感で感じることができる高品質な複合システムとなっています。
なお、後席のすべての窓には遮光カーテンが取り付けられており、それらを閉めると車内はディスプレイの映像のみに集中できるホームシアターのような空間へと変貌するようになっていました。
パナソニック オートモーティブシステムズは、カーナビからETC、先進運転支援システムといったさまざまな車載機器を横断的に扱うメーカーであり、このコンセプトモデルは会社の知見・技術を盛り込んだ車内空間を提案するためのものだとか。
同様の後席ディスプレイは、すでに同社が手掛けた48インチのものが、2000万円するレクサスのミニバン「LM」に採用され、車内を特徴づけていますが、今回はそれよりも大きいサイズです。このような極上のAV(オーディオビジュアル)設備を備えたミニバンは、どういった目的で作られたのでしょうか。
「WELL Cabin concept」が想定している利用シーンは、ビジネスや観光・娯楽でのVIP(要人)送迎です。アルファードの「WELL Cabin concept A」はビジネスエグゼクティブ、ヴェルファイアの「WELL Cabin concept B」はインバウンドを含む富裕層をそれぞれメインユーザーとして想定しており、車移動の時間を有効活用するためにこのようなAV機器を備えているといいます。
具体的には「WELL Cabin concept A」では企業の重役や経営者がビジネスシーンで乗り込み、移動中に大型ディスプレイを使ったテレビ会議などをする移動オフィスとして利用し、疲れた際はアロマディフューザーやリラクゼーション動画を使って短時間の睡眠や休息を取るといった使い方が想定されています。
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アルファードベースの「WELL Cabin concept A」(手前)と、ヴェルファイアベースの「WELL Cabin concept B」(布留川 司撮影)。
一方、「WELL Cabin concept B」は富裕層が移動手段として利用し、空港からの送迎中に車中で観光情報を確認したり、ライブやスポーツ観戦の送迎ではイベントのダイジェスト動画を見て気分を高めたりすることができるそうです。
このような具体的な利用シーンが想定されていることについて、メーカー担当者は次のように説明してくれました。
「もともと弊社は技術からサービスや製品を提案することが多いです。しかし、逆にお客様が喜んでくれるというニーズの視点からも商品開発のリサーチをしており、今回のコンセプトモデルのビジネスやエンタメでの利用もそういった経緯から作られました」
今回のコンセプトモデルの展示についても、これ自体をそのまま販売するのではなく、展示を通じ送迎会社や架装会社に興味を持ってもらいビジネスパートナーとともに今後の発展に繋げたいと説明していました。
最高級車LMならではの設備と思われた巨大ディスプレイが、より一般的なアルファード/ヴェルファイアにも備わっていくのか注目です。