体よく押し付けられた仕事、やっぱり断ればよかった。
周囲を気にして断れなかった。
一度断っても何度もお願いされると結局、引き受けてしまう。
断ろうとしてもなんだか言いくるめられる――。
「断る」ことにストレスを感じ、断れない人は少なくないだろう。そんなとき、「論破王」としても知られるひろゆきならどうするのか? 「人間関係にカドを立てずに断る方法」について、新刊『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に 負けない話し方を教えてください』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
■その場にいない第三者にパスを投げる
その場にいない第三者にパスを出す方法があります。これは、セールス的な誘いを受け、その場で決断を迫られるような時に使えます。
要は、本当は自分に権限があったとしても、相手には「上司に聞かないと判断できません」「家族が不在でわかりません」と言い続けて、まるで自分では決められないかのように振る舞うんですね。仕事上のことなら上司、部長、取締役、株主など、家に来たセールスだったら親とか夫とか妻など、おうかがいを立てなければならない人がいることにして、ひとまずその場での決断を避けます。
たとえ営業であっても、断ると「相手が気分を悪くするんじゃないか」と気になる人もいるかもしれませんが、「決定権が自分にはない」と言えば、不可抗力みたいなものですから、相手も気分を害したりはしにくいはずです。
■キャラクターを作る
最も簡単なのは「あいつは断るのが当たり前」というキャラ作りをすることです。「いくら押しても、こいつは無理だな」と相手に思わせるキャラを、先にきちんと作っておく。
たとえば上司から「転勤をお願いしたい」と言われても、「いや、無理っす、無理っす。全然、無理っす、無理っす」しか言わずに、逃げてしまうような感じですね。
「無理っす」しか言わないキャラだと、相手はどうやって説得すればいいか、よくわかりません。
「考えてみます」だと、相手は「押せばなんとかなるな」と思ってしまうので、「押してもなんともならない」ようなキャラ作りを前もってしておくのがいいでしょう。
ただ、これを入社5~6年目からいきなり実践するのは難しいでしょうから、出会ってまもない頃に使えるやり方ですね。
■理由を言わずに断る
理由を言って断ろうとすると、その理由をうまく返されてしまった時に、断れなくなります。
理由を明確にしないで断るほうが、実は相手は説得しづらいんですよね。たとえば「無理です」「参加できません。ごめんなさい」とだけ言って終わりにしてしまう。
会社の飲み会なんかは、これが一番断りやすいと思います。
へたに「今日残業があるんで」などと言うと、「だったら残業が終わってから来てよ」と返されたりして、さらに断りづらい状況を作ってしまうからです。
具体例をビフォーアフターで考えてみましょう。
【Before:ここがダメ】
B:ねえ、今日飲みに行こうよ。
A:あ、今日はこの仕事を片付けなくてはいけないので……。
(※理由を言うと相手から代案を出されたりして断りづらくなる)
B:課長が言ってたやつでしょ。まだ納期は先って言ってたじゃない。大丈夫、行こうよ。
A:いえ、私仕事が遅いので……。
B:そんなことないよ。自分も仕事たまってるけど、一緒に頑張ろうよ。
A:あ、それに明日のごはんの買い物も行かなくちゃいけないし。
B:大丈夫、この近くに、24時間営業しているスーパーもあるから、教えてあげるよ!
A:(行きたくないの、察してほしいんだけど……)
【After:こう変わった!】
B:ねえ、今日飲みに行こうよ。
A:ごめんなさい。今日は行けません。
(※理由は言わずに断る)
B:あ、忙しいの?
A:すみません。ちょっと、今日は無理なんです。
(※何か聞かれても理由は言わない)
B:あ、そう。
■「付き合いの悪い奴」と思われるのは悪いことではない
一方、「理由も告げずに断るのは気が引ける」というケースもありそうです。
だったら、急用を入れちゃえばいいのでは?「最近、親の体調が悪くて、今日は病院につきそわなければいけないんです」とか、適当な理由をつければいいんです。
そもそも飲み会って、なんとなく来てほしいだけで、参加必須の人など、ほぼいないんですよね。なので、それっぽい理由が1つあれば、「しょうがねえな」ってなるだけです。会社内の飲み会に行かないことでクビになります、みたいな話はないので。
それに、社内で普通にコミュニケーションがとれてさえいれば、飲みの付き合いが悪いと思われても、なんの問題もないと思います。「本当は飲み会に行きたいから、付き合いが悪い奴と思われたくない」という人ならまだしも、「付き合いが悪い人」と思われることについて、心配する必要はないんじゃないでしょうか。
【PROFILE】
ひろゆき(本名:西村博之)
1976年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。1996年、中央大学に進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「相手の人格を否定すること」を禁じた新たなSNSサービス「ペンギン村」をリリース。2021年、自身のYouTubeチャンネル(登録者数160万人。2023年10月25日現在)での生配信を元にした「切り抜き動画」が話題になり、1か月の総再生回数は3億回を超えた。主な著書に、『論破力』(朝日新書)、『1%の努力』(ダイヤモンド社)、『自分は自分、バカはバカ。』(SBクリエイティブ)、『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)などがある。