日産は2022年以降、新車の投入がほとんどなく、ラインナップの陳腐化が進んでいます。しかし、裏を返せば日産車なら低年式の中古車を安く買っても型遅れにならないということ。そんなオトクな日産中古車を3車種紹介します。
日本の大手自動車メーカー、日産が揺れています。同社は当初、ホンダと経営統合する計画でしたが、2025年2月13日に両社は合意を正式に撤回。3月に入ってから同社は経営改革を進めるために、内田 誠社長をはじめ、副社長や複数の役員も退任することを決めています。
15年間モデルチェンジ無し!? 「新型でない今こそ買い!」な…の画像はこちら >>V37型「スカイライン400R」は日産きっての高性能スポーツセダン。最高出力は405馬力を発揮し、電子制御サスペンションやステアリング・バイ・ワイヤ機構を装備する(画像:日産)。
世界的な日産の販売不振の要因のひとつに、新車開発を抑制した内田社長の経営戦略の失敗が指摘されています。実際、2022年に「エクストレイル」「フェアレディZ」「サクラ」「セレナ」の4車種が発表されて以降、日本市場への新型車の投入はストップしていました。日産のラインナップには10年以上フルモデルチェンジされていない陳腐化したモデルも多く、ディーラーからは「売るクルマがない」、日産ファンからは「買いたい新車がない」との声も挙がっています。
しかし、長寿モデルが目立つ日産のラインナップは新車販売においてはデメリットとなりますが、中古車を選ぶ際には低年式車を購入しても型落ちとはならず、現行車とほぼ変わらないクルマが安く買えるということで、逆にメリットとなります。
もちろん、モデルライフの途中で数度のマイナーチェンジを経てはいますが、よほどクルマに詳しい人でなければ違いに気づく人は少ないでしょうし、気になるのならグリルやヘッドランプ、バンパー、ホイール、バッジなどを最新型に替えれば、少なくとも見た目だけは新車と同じにすることも可能です。
また、日産車はシャシーやエンジン、足回りなどの設計は優秀で、コストをかけて作られているため、メンテンナンス履歴のしっかりした車体なら10年・10万kmを超えていても安心して乗ることができます。ダンパーやブッシュなどといった足回りのパーツを新品に交換し、傷んだ部分をリフレッシュすれば、古いクルマでも新車時の走行性能を取り戻すでしょう。
今回は、そのような“今が買い時”のリーズナブルな現行日産中古車を3台紹介します。
1台目は、日産を代表するスポーツセダンのV37型「スカイライン」です。2014年にシリーズ13代目として登場したこのクルマは、登場当初は日産ではなくインフィニティのエンブレムを装着したことが賛否を呼びました。
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2013年のデビューから12年が経過し、低年式車なら100万円以下で中古車が購入できるV37型「スカイライン」。スポーツ派のドライバーならリーズナブルな中古車は魅力を感じるだろう(画像:日産)。
パワーユニットは、登場時は3.5リッターV型6気筒エンジン+電気モーターのハイブリッドもしくは、ダイムラー・ベンツから供給を受ける2リッター直列4気筒ダウンサイジングターボの2種類があり、2019年のマイナーチェンジで後者、すなわち直列4気筒エンジンに代わって自社製の3リッターV型6気筒直噴ツインターボエンジンが加わっています。2022年に「フーガ」が廃止されてからは、名実ともに日産セダンシリーズのフラッグシップになった「スカイライン」は、モデルが古くなったとはいえ、走りや居住性、快適性は現在でも一級の水準にあります。
中古車は前期型なら乗り出し100万円以下で充分狙えますが、Vモーショングリルを採用した後期型だと、走行5万km台の中古車で探した場合、200万円強の予算が必要です。また、最高出力405馬力を発揮する3リッターV型6気筒直噴ツインターボエンジンを搭載し、電子制御サスペンションやステアリング・バイ・ワイヤ機構を装備する「400R」は400万円前後の予算を見ておくべきでしょう。
とはいえ、いずれにしても内容を考えればかなりのお買得車です。
2台目は高級ミニバンの「エルグランド」です。シリーズ3代目となる現行型は、北米向けの「クエスト」と基本設計を統合し、駆動方式はFRからFFベースへと改められました。この変更により低床化を実現し、車格相応の広い車内空間を誇るようになっています。
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2010年の登場と現行の日産乗用車ラインナップの中では最古参となる「エルグランド」。ライバルのトヨタ「アルファード」や「ベルファイア」は3回のモデルチェンジを経て商品力を着実に向上させていることもあって、販売面では大差をつけられている(画像:日産)。
15年という長いモデルライフのあいだに、ライバルとなるトヨタ「アルファード」や「ベルファイア」は3回のモデルチェンジを経たことで、相対的に「エルグランド」は商品力を失い、新車は半ば忘れられた存在となっていますが、そのぶん中古車相場は低めなので「とにかく安くて、広くて、快適なミニバンがほしい」という人にはおすすめです。
中古車価格は走行距離の多い前期型なら50万円以下で購入できますが、比較的タマ数が多い2014年登場の中期型で走行距離が7万km台の中古車を選ぶ場合は、乗り出しで100~130万円くらいの予算が必要です。なお、2019年にデビューした後期型は同じ条件で200万円以上もします。リセールの低さを考えるとちょっと手が出しにくいようです。なお、2.5リッターと3.5リッターモデルによる価格差はほとんどありません。
最後に紹介するのは、2022年に登場した軽BEV(バッテリー電気自動車)の「サクラ」です。航続距離の短さから、使い方に制限を受けるBEVということで需要はほぼ一巡し、現在では登場時の人気は、ほぼ消え去っています。また、短期間で手放す人も多かったようで中古車市場の流通台数が多く、走行距離2万km以下の低走行車が乗り出し、140万円以下で見つかります。ガソリンが高騰している昨今、近場の移動に使うアシと割り切るなら、価格がこなれている中古の「サクラ」は魅力があります。1度BEVを試してみたいという人にオススメしたい1台です。
2025年3月現在、日産車はあまり良いイメージがないかもしれませんが、これら中古車をあえて選ぶことで、ひょっとしたら新たな日産車の魅力を見つけることができるかもしれません。