南海トラフ巨大地震が誘発した? 愛知県の真下を通る活断層 2300人以上が死亡した80年前の三河地震

南海トラフで起きた巨大地震が、誘発した可能性が指摘される地震があります。南海トラフ巨大地震の発生確率が「80%程度」に引き上げられた中、「活断層のリスク」も無視できなくなっています。
南海トラフ巨大地震が誘発した? 愛知県の真下を通る活断層 2…の画像はこちら >>
三河湾と三ヶ根山に挟まれた、愛知県蒲郡市形原町。温泉で知られるこの町の周辺を強い揺れが襲ったのは、80年前のこと。(名古屋大学 減災連携研究センター 鷺谷威教授)「西側から東側に向かって、せり上がるような断層運動が起きて、それが三河地震だった」
CBC
CBC
1945年1月13日の未明に発生した「三河地震」は、マグニチュード6.8で、愛知県内を中心に2300人以上が死亡。このとき動いた活断層=「深溝断層」は、形原町の真下を通っています。活断層の「せり上がるような動き」は、地形として残っていました。
CBC
訪ねたのは、山側にある宗徳寺。地震の前に撮影された宗徳寺の写真と比べると、現在は、画面左側が持ち上がっていることが分かります。地震の揺れで当時あったお堂は倒壊、持ち上がった地面は石段6段分、1.5メートルほどにも達します。
CBC
(桜沢気象予報士)「これは地震の影響?」(名古屋大学 鷺谷威教授)「そうです、活断層がここに通っている」活断層は地下の地層や岩盤に力が加わりずれ動いたもので、寺の裏山には地割れも残されています。このメカニズムをこんにゃくで説明すると…(桜沢気象予報士)「建物が盛り上がったこんにゃくによって、斜めになってしまいました」(鷺谷教授)「普段はこんにゃくが接している局面、断層が摩擦でくっついて押さえているが、それが耐えきれなくなると、ぷるんといってしまう」
CBC
CBC
活断層は過去に地震を起こした“証”であり、将来、再び地震を起こす可能性も秘めています。地面をこれほどまでに持ち上げた地震で、形原町周辺では住宅の2割が全壊、233人が死亡しました。
CBC
宗徳寺の近くには活断層の上を走る道路があり、ここを挟んで、段差のような地形が。地震の痕跡は地形として残っているものの、戦時中のため当時の写真や資料は十分に残されていません。
こうした中、活断層による地震の被害を伝える貴重な資料の存在が明らかに。それを大切に保管していたのは、岩瀬あい子さん(88)。
CBC
(岩瀬あい子さん・88歳)「ガシャーって家が壊れる音が2回した」岩瀬さんが見せてくれたのは、1本のカセットテープ。「忘れじの声」というタイトルが付けられたこのテープは50年ほど前に、父親・愛一さんら地元の人たちが地震の経験を後世に伝えようと、吹き込んだものだといいます。
CBC
(父・愛一さん)「午前3時を回ったくらいにガシャーって。(揺れは)下から持ち上がるようだった。宗徳寺の西から田んぼのあぜ道が波を打つようになっていた。大変だった」
蒲郡市も把握していなかったこのテープには、突然襲った揺れのすさまじさのほか、地面が持ち上がった活断層の西側で被害が目立ったことが証言されていました。
CBC
(岩瀬あい子さん)「よかったです、こうしておいてくれてありがたい」形原町では、住民が聞き取った体験談を紙芝居にするなど残された資料が少ない中で、住民自らが伝えようとしてきました。そしていま、三河地震は“ある理由”で注目されることに。(鷺谷教授)「将来的に次の南海トラフ巨大地震が心配されているが、南海トラフ巨大地震の前後に内陸部でも活断層の動きが活発化するだろうと」直近で南海トラフが動いたのは1944年と1946年。三河地震は昭和東南海地震のわずか37日後に起きています。いつ起きてもおかしくない南海トラフ巨大地震に活断層による地震が誘発される可能性があるのです。
CBC
(鷺谷教授)「日本列島どこでも、活断層の地震のリスクがだんだん上がってきていると考えた方がいい」日本には活断層が2000あるとされ、名古屋のど真ん中には活断層かどうか、否定できない地形も。無視できないリスクに対し、備えを進めていくしかありません。
CBCテレビ「チャント!」2025年2月3日放送より
CBC

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする