「結局、電動建機ってどうなん?パワー弱くないの?」→実際に乗ってみた結果

電気の力で動く電動建機、「パワーが出ないのでは」という論も根強いですが、実際はどうなのでしょうか。乗って試してみました。
2025年2月に西尾レントオールの東京機械センターで行われた「電動建機試乗会」では、さまざまなメーカーの電動建機が登場しました。こうした建機は「環境に良い」「CO2が削減できる」といった点がアピールされています。一方で、現場からは「電気なのでパワーが出ないのでは」という声も。実際に使ってみた感覚はどうなのでしょうか、筆者が試してみました。
「結局、電動建機ってどうなん?パワー弱くないの?」→実際に乗…の画像はこちら >>コマツの「PC30E-6」で掘削を行う筆者(斎藤雅道撮影)
実際に筆者がディーゼル車両で使ったことのある、5トン未満の小型のバックホウ(ショベルカー)では、そのタイプで電動のものはコマツ、竹内製作所、ボルボの3メーカーの車両が出展されていました。そのうちボルボの「ECR25 Electric」は、掘削は体験できませんでしたが、操作は一通りできました。
操作感としては、油圧に連動してエンジンが動かないので、ディーゼルで動く建機よりも、反応が敏感な気がしました。
同車の説明を行っていた担当者に話を聞くと「基本の操作も反応も、ディーゼルの油圧と同様です」とのことなので、恐らくエンジン音がない分、反応が速い気がするだけだと思われます。「馴れるとそこまで違和感がないです」とも話しており、業務で使い続ければ問題なさそうです。
また、エンジンの始動に比べてモーターの場合かなり静かです。もちろん動かしているときの音もエンジン音がない分静かになっています。
掘削込みでの試乗はコマツの「PC30E-6」、竹内製作所の「TB35e」で行えました。掘削に関しても、ディーゼルのものと比べパワーが弱いという印象は受けません。油圧を動かすために、エンジンを使うかモーターを使うかの違いはあるものの、バケットやアームシリンダー、ブームなど動かす仕組みは電動でもエンジンでも違いはないため、普通に問題なく作業ができました。
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ボルボの「ECR25 Electric」(斎藤雅道撮影)
走行に関しては、ボルボとコマツの建機を若干動かしましたが、整地された平地のため差を感じるレベルではありませんでした。ただ電動建機は低速域でのトルクが高いといわれており、登坂する能力に関しては、ディーゼルエンジンよりも場合によっては優秀かもしれません。
作業に関しては性能に大差がありませんが、ディーゼルの方が勝っているポイントもあります。こうした小型バックホウの電動での稼働時間は最大4時間で、充電の時間などを考慮すると、長時間の作業が発生する現場などでは、導入を避けるケースもありそうです。
かわりに、静音性は抜群で、前述した「ECR25 Electric」によると「現場でバックホウが動いている状態でも簡単にオペレータに指示を伝えることができます」と別のメリットもあるとのこと。また、騒音が気になる住宅地や排ガスにより一酸化炭素中毒の危険がある閉所などに関しても、こうした電動建機は注目されており、静かで同じ性能の出せる電動建機は、場所によっては通常の建機よりも高い評価を受けることもあるようです。
また、会場で展示されていた中では一番小型で520kgの「PC05E-1」というコマツ製の車両は、ホンダ製の「Mobile Power Pack e」に対応した車両で、乾電池の様に現場での交換ができます。同車両を説明していたスタッフによると、電池はひとつあたり10kgとのことで、人間ひとりで持ち運べる重さとサイズで、小規模な現場に限定はされてしまいますが、複数持ち歩けば、連続運用もできそうです。

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