東京機械センターで行われた「電動建機試乗会」で日本でまだ1台しかないボルボ製の電動タイヤショベル「L120 Electric」が公開されました。どんな車両なのでしょうか、実際に乗ってみました。
2025年2月19、20日に西尾レントオールの東京機械センターで行われた「電動建機試乗会」では、日本でまだ1台しかないレア車両も公開されました。それが、ボルボ製の電動タイヤショベル(ホイールローダー)「L120 Electric」です。どのような車両なのでしょうか、実際に乗ってみました。
「住めるぞこの建機!」ボルボが作りだした電動タイヤショベルの…の画像はこちら >>ボルボ製の電動タイヤショベル「L120 Electric」のフロント部分(斎藤雅道撮影)
同車両は運転質量が20トンの大型のタイヤショベルになります。稼働時間は最大9時間で、充電は20%の状態から80%まで高速充電した場合、2時間とのことです。
実は筆者は、過去に少しタイヤショベルを運転して掘削作業もやったことがあるのですが、今回「L120 Electric」の運転席に座ってまず驚いたのがシートの快適さです。程良い弾力があり、衝撃も運転席が吸収している感じがあります。さらにシートヒーターが装備されているようで、座席が暖かいのです。
なぜここまで快適なのか、会場で同車両の紹介をしていた営業担当者に聞いてみると、実はこのシートには、トラックの技術が活かされているとのことです。
「(建機は)トラックと開発部門が同じなので、そこで得られた要望などを参考にして、建機のシートも作っています。自動車などを作っているので乗りやすさは特に重視しています」
ボルボは建機においても、長時間乗っても疲れないことを重視しています。オペレータが疲れてしまうと、それは作業効率の低下や事故の原因ともなってしまいます。そのため、たとえ現場用の車両であっても乗る人への配慮は忘れていません。
さらに冷暖房も完備で、空調の性能もかなりいいとのこと。さらに、注目なのが車内のタッチパネルです。ブルートゥースを介して通信機器での会話ができるほか、音楽を聴ける機能まで備わっています。
また、車内もなかなか広々で、現場の休憩時間などでもプレハブで休憩するよりも、良い環境なのでは感じるほどです。話を聞いた担当者もその気持ちはわかるそうで「私も待ち時間は車内の方が暖かいのでそこで待機していました。おそらく住めるレベルで快適だとは思います」と明かしました。
ちなみに、肝心のタイヤショベルとしての性能も、同車両のベースとなったディーゼル車両である「L120H」とそん色がありません。ディーゼルの場合、バケットの油圧を動かす際に、エンジンを動かす必要があるので、アクセルペダルを踏まなければなりませんが、「L120 Electric」の場合はモーターが稼働していれば、すぐにバケットも動かせるため、本来の性能は変わらないはずではあるものの、体感としては動作が若干速い印象を受けます。
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ボルボ製の電動タイヤショベル「L120 Electric」のリヤ部分(斎藤雅道撮影)
さらに、電動建機として大きな特徴があるのは「回生ブレーキ」です。大型車のエンジンブレーキに相当するものとして使用可能で、「L120 Electric」のは3タイプ用意されており、一番キツ目にかけた場合、アクセルをベタ踏みした状態で加速したあとにペダルから足を放すと、すぐにモーターが反応しブレーキがかかります。一番緩い設定の場合は逆に緩やかに徐行してから止まる、クルマのエンジンブレーキのような感覚が味わえました。
ドライブ・ニュートラル・バックのギアチェンジは電気で動くのでもちろんオートマで、手元のスイッチで簡単に切り替えることができます。またアクセルを踏んだ状態でも、切り替えた直後に回生ブレーキがかかり、そのままシームレスにバック走行に移ることも可能とのことです。
残念ながら会場では掘削している様子は見ることができませんでしたが、バケットの切れ味が鋭く、耐摩耗性、耐食性に優れると言われるスウェーデン鋼を使っており、かつボルボ純正のものでありということで「性能はかなりいいです」と担当者はアピールしていました。