【新潟】樹森アルビの開幕戦をレビュー!結果は引き分けも「準備してきたことをしっかりやれた」第2節は清水とのオレンジダービーに

サッカー・アルビレックス新潟は2月15日、明治安田J1リーグの開幕戦を迎えた。樹森大介新監督の初陣は惜しくも引き分けとなったが、新生アルビの手応えを感じられる試合となった。そして、第2節の22日は初勝利を目指して清水エスパルスとのオレンジダービーに挑む。
2月15日、アルビの開幕戦が行われる日産スタジアムには、約7000人のアルビサポーターが駆けつけた。そのサポーターからは「ベースは変わらないと思うが、これから一年通して戦っていく中でとりあえず開幕戦どんな戦いを見せてくれるのかなという気持ち」「晴れの中で新監督のサッカーが見られるのはすごく楽しみ」「樹森監督の初陣なので新しい新潟のスタイルを見せてもらって勝ってくれたら一番うれしい」などの声が聞かれた。関心が寄せられていたのが、J1初挑戦の樹森新監督のもと構築された新たなサッカーだ。
宮崎キャンプでの取材時には、「何のためにボールを持っているのかといったら、裏をとるためとかゴールに迫るためなので、いい状態になったときのアクションとかっていう回数は今年は増やしていきたい」と話していた樹森監督。ボールを保持するスタイルは維持しつつも、チームに「縦への意識」を植え付けた。さらに選手12人が去り、新たに14人が加わったチームで、スタメンには昨季プレーしていた選手が中心に選ばれた。その理由について、樹森監督は「キャンプでよかった選手」を選んだという。昨季、ゴールマウスを守った小島亨介(柏)や阿部航斗(磐田)が移籍し、特に注目されていたキーパーには4年ぶりに期限付き移籍から復帰した新潟市出身の藤田和輝が選ばれた。藤田は「ずっと憧れてきてやっと立てた舞台。アップに入ったときには感極まったものがあった」と明かす。
開幕戦の相手は、すでに3日前にACLでチームを公式戦を戦っている横浜F・マリノス。キャンプでの仕上がり具合が如実に結果に表れると予想される中、アルビは左サイドバックの橋本健人を中心に、これまでのパスをつなぐサッカーにこだわらず、キャンプで取り組んできた、積極的に相手のディフェンスラインの裏を狙うロングパスも併用しながら攻め込む。守っては、前半16分に横浜Mの井上があげたクロスを藤田が思い切りよく飛び出しパンチングし、ピンチの芽を摘む。すると試合が動いたのは前半26分。橋本の前線へのボールを、裏に抜け出した太田修介が収めてシュート!ボールはバウンドしながらゴールに吸い込まれ、先制に成功する。太田は「チームとして狙っていたところに橋本がすごく良いボールを出してくれた。しっかりファーストタッチを決めて、外側にボールが流れたのでファーに転がせば絶対に入るっていう自信があったので、その通りになった」とゴールを振り返る。
新生アルビがキャンプで取り組んでいたことが実を結んだ太田の開幕ゴールで波に乗ったアルビ。後半10分には舞行龍ジェームズのロングフィードから奥村仁や谷口海斗、太田、橋本が次々にゴールを狙い、約20秒間に4本ものシュートを放つ。樹森監督の「ゴール前でパスの出しどころを探すのではなくシュートを仕掛けて欲しい」というプレーが出たものの、相手キーパー朴を中心とした守備で、追加点を奪うことができない。一方、守備では、現J3の高知ユナイテッドSCから招へいした吉本ヘッドコーチが中心となり構成した「ハイプレス・ハイライン」が機能。前線の選手が積極的にボールを追ってパスコースを限定。加えて強度の高い守備で後ろの選手がボールを奪いきるシーンが多く見られ、後半16分まで横浜マリノスにシュートを許さない。キャプテンマークを巻いた宮本は「前線の選手がいいプレッシャーをかけてくれて僕らとしてはかなりパスコースが絞れた状態で、入ってくるボールに対してチャレンジできたので、チームとしてはいい守備が出来た」と振り返る。
しかし、マリノスはアルビに対応するため、システムを変更。押し込まれる場面が増えると、ゴール前で相手を倒してしまい、後半30分にPKを献上する。樹森監督は「守備の強度が高くなると、どうしてもファールっていうのがリスクである。実際それでPKになってしまったので、我慢強く対応するというところをやっていかなければならない」と振り返る。藤田もコースは読んでいたが、2年連続J1得点王のアンデルソンロペスのシュートを止められず同点に追いつかれる。その後は期限付き移籍から復帰した矢村などを投入しゴールに迫ったものの勝ち越せず、そのまま試合は終了。開幕戦は惜しくも引き分けに終わったが、チームは確かな手ごたえを感じていた。樹森監督は、「初戦ということで緊張感がある中、選手たちはキャンプで準備してきたことをしっかりやってくれたなっていう意味では非常に満足していますし時間とともに最後体力がきつい時間帯ももちろんあったんですけど、まだ第1戦ということを考えればこれからしっかりと積み上げて、さらに成長していけると感じている」とコメント。終盤の選手の疲労については、「最初から前線の選手が飛ばしてくれた。これから試合を重ねてくれば自然とついてくる」としながらも、勝ち点3を取れなかったことは悔しいと話した。
開幕ゴールをあげた太田も、多くのチャンスで決め切れていればと、悔しさをにじませたが、新しいサッカーについて「すごく走らなきゃいけないし、ハードワークしなきゃいけない、誰ひとりサボれないサッカーのなかで、選手全員がすごくハードワークをした」と手応えを感じているという。そして「もっとみんなで基準を高く設けてやっていけばシーズン終盤に向かってどんどん成長していけるんじゃないかなと思うので、今日得た自信っていうのをどんどん次につなげていきたい」と、次節に向けて意気込んだ。次節は2月22日(土)にアウェーで今季J1に復帰した清水エスパルスと対戦。元新潟の秋葉監督、そして反町GMが率いるチームとのオレンジダービーに注目だ。

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