東京・墨田区で今年1月に発生した火災において人命救助などを行ったとして、読売新聞販売店(YC=読売センター)墨田東部の山田秀一所長(46)が21日、向島消防署で勇勢欣一郎署長から「消防総監感謝状」を手渡され、表彰された。
火災は1月21日12時45分ごろ、八広4丁目の3階建て住居兼務の1階作業所で発生。煙が上がっているのを通りかかった山田所長が発見し、1階にいた93歳男性を救出するとともに消火器を使って消火活動を開始。15分後に消防車など10台が到着して本格的に消火活動するまで延焼を食い止めることにつながり、3階に取り残されていた92歳の妻も消防隊員によって救出。約1時間で消し止められ、建物の被害は一部で済んだ。
「営業中にバイクで通りかかって、最初はたき火か何かかと思って通り過ぎたけれど、イヤな感じがして戻ったら火事だった。座り込んでいたおじいちゃんを建物から出して消火器を使って一度は消えかかったけど、また燃え上がった。パチパチと音が鳴り出して爆発するんじゃないかと思った」と山田所長。当時の様子を生々しく証言。1階で男性が作業していた際に発生した火花が何かに燃え移ったのが原因とみられる。消防隊が到着した時は黒煙が上がり、屋根まで燃え広がっていただけに、適切な初動が被害を最少に食い止めることにつながった形だ。
表彰式では「居住者の人命を勇猛果敢に救助するとともに、その後の適切な初期消火活動により被害の拡大をとどめていただきました」と山田所長を称賛。勇勢署長も「火災でケガをしたり命を落としたりする一番の原因は煙。危険や命を顧みず、おじいちゃんの命を守っていただいた。初期消火で煙を食い止めていただいたおかげで、おばあちゃんの命も助かったと思う」と称えた。これに対し、山田所長は「周りには褒められ半分、怒られ半分で、命は大事にしてほしいと言われた」と苦笑いを浮かべた。
読売新聞販売店(YC=読売センター)では、新聞配達業務だけでなく、地域高齢者の見守り活動に取り組んでおり、2004年には全国のYCでボランティア団体「全国読売防犯協力会」(Y防協)を組織。不審者発見や防犯セミナー後援などの啓発で地域防犯活動を積極的に行っている。防災週間での配布物の新聞折り込みなども行っており、この日同席した関口志麻子予防課長からもYC墨田東部の日ごろの協力に改めて謝意が伝えられた。