日本郵船グル―プの郵船クルーズは2025年2月20日、新造クルーズ船「飛鳥III」の概要について記者会見を行いました。日本を代表する旅客船の新型がいよいよ登場します。
日本郵船グル―プの郵船クルーズは2025年2月20日、新造クルーズ船「飛鳥III」の概要について記者会見を行いました。日本を代表する旅客船の新型がいよいよ登場します。
新・豪華客船「飛鳥III」ついにデビュー決定 「日本人クレー…の画像はこちら >>ドイツのマイヤーベルフト造船所を出る「飛鳥III」。会見会場の映像から(乗りものニュース編集部撮影)。
飛鳥IIIは2006年に就航した「飛鳥II」の後継です。といっても郵船クルーズは「飛鳥II」「飛鳥III」を2隻体制で運航し、拡大が見込まれる日本のクルーズ市場に備えます。「飛鳥II」はもともと別の船を改造したものだったので、「飛鳥III」は1991年就航の初代「飛鳥」以来34年ぶりの新造船です。
船体の規模は5万2000総トンで、全長は230.2m、全幅は29.8m。総客室数は385室、乗客定員は740人です。燃料にはLNG(液化天然ガス)を使用し、運航時のCO2(二酸化炭素)の排出を削減する環境に配慮した新世代のクルーズ船となります。
もっとも、「飛鳥II」(5万444総トン、全長240.9m)に比べて総トン数は増えているものの、全長は10mほど短く、客室数は51室、乗客定員は130人ほど減っています。そのぶん、設備とサービスに贅を尽くしています。
客室タイプは大きく分けて3種類ありますが、全て「プライベートバルコニー」付きです。最高級クラスの“ペントハウス”には、飛鳥初のバトラーサービス(専属の客室係)付きとのこと。ちなみに、「Starlink」が導入され洋上でもフリーWi-Fiが使えるので、いわゆるワーケーションもできることがウリのひとつです。
もう一つのウリが「食」。船内には種類の異なるレストランが6つも設けられ、時々の気分に応じて楽しむことができます。
さらに他のクルーズ船にない特徴が、「お風呂」です。飛鳥IIは船尾に展望浴場がありましたが、飛鳥IIIは12デッキの船首側のど真ん中に、露天風呂付きの「グランドスパ」を設えています。
記者会見ではアンバサダーである放送作家の小山薫堂さんが飛鳥IIIを紹介する映像が流れました。その中で、船首側のお風呂について、建造を担当するドイツのマイヤーベルフトが驚いたというエピソードが紹介されました。
Large figure2 gallery3
会見でのフォトセッション。中央が郵船クルーズ遠藤社長(乗りものニュース編集部撮影)。
「こんなところにお風呂をつくってどうするんだ!日本人はクレージーだ!」とまで言っていたのだとか。
郵船クルーズの担当者によると、飛鳥IIは改造船のため、お風呂は船尾側に設けざるを得なかったといいますが、飛鳥IIIでは、船の中で最も大事なポジションに、ドドーンとお風呂を据え付けたわけです。
映像のなかで小山さんは、飛鳥IIの乗船体験で最も印象に残っているポイントとして、「なんといってもお風呂。あの露天風呂から見る月の美しさは忘れられない。どんな名湯でも体験できない」と、洋上の露天風呂ならではの魅力を語っていました。
そして、飛鳥IIIについては「間違いなく世界一のお風呂になる」と、太鼓判を押しています。
飛鳥IIIは7月20日に横浜を出港する函館・小樽を巡る7日間のツアーでデビューを果たします。その後、8月に横浜発、9月に博多発、10月に神戸発の“デビュークルーズ”もそれぞれ予定。当面は1週間程度のクルーズ商品が中心となるそうです。各商品の予約は4月3日から始まります。
ちなみに、3年後の2028年には、郵船クルーズが運航管理を担うオリエンタルランドの「ディズニークルーズ」が東京に登場します。これが、クルーズ市場が大きく拡大するカギになると考えているそう。郵船クルーズの遠藤弘之社長は、それに向けて「(飛鳥シリーズの)2隻運航体制が、市場拡大の柱」だと力を込めました。