尊厳死を巡る物語だが、生きることへの慈しみに満ちた映画でもある。
仕事で名を成し、人生の後半をどのように生きようかと思案の最中にマーサを襲う難病。数々の困難を乗り越えてきた彼女でも根を上げそうになるつらい治療。そして、かすかな望みも絶たれる。その際、マーサは友人イングリッドにただ一つのことを頼んだ。「私の最期の瞬間に隣の部屋にいてほしい」
スクリーンの中は色彩に満ちている。花も衣装も鮮やかに、その生を謳歌(おうか)しているようだ。尊厳死を扱いながら、あなたはどう生きたいのかと問いかけてくる。
誰もが、自分自身をマーサに重ね、イングリッドに重ねるだろう。私がマーサならイングリッド役を頼めるかと友人に尋ねたら、言下に断られた。
(スターシアターズ・榮慶子)
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