プロ6年目の高部瑛斗外野手が手応え十分のキャンプを送っている。「自分で自分に期待をしているシーズン」。石垣島キャンプ中にメディアから調整状況を問われ回答したコメントからもその充実ぶりがうかがえる。
「もちろん毎年、自分に期待はしているけど、今まではけがをして自分の期待を裏切る年を重ねてきた。そんな中、今は練習の感覚、生活とかすごくしっくりきている感じがある。そしてもっとやれるという自分への期待もある。そうやって自分を奮い立たせながら自分と向き合い、生活をしている。そういうのが重なって自分の中ではやれるんじゃないかなという期待が今年は一段と高くなって、口にした」と高部は独特の表現で言葉を並べた。
昨年は7月の月間MVPを受賞するなど走攻守でチームをけん引したが8月に右膝に痛みを訴え、さらにその後、左手首を負傷。9月には手術に踏み切り戦線を離脱した。2023年も右肩や腕などを痛めるなど故障に悩まされ続けるシーズンが続いている。
そのポテンシャルの高さは誰もが認める逸材。コンディションが万全であればというシーズンを繰り返してきた中で迎えた25年は、身体に今までに感じたことがないような研ぎ澄まされた感覚が宿っている。ここまで地道にしっかりとリハビリを行い、トレーニングとケアを欠かさず行いながら進んできた自負と自信が自らを突き動かす。
「ボクの今年って、すごい大事な気がしている。ボクの野球人生の大きな分岐点じゃないかなと自分では勝手に思っている」と先を見据え、語気を強める。
フリー打撃ではイメージを大事にしている。「イメージ通りに打ちたいということ。常にそれを考えている」。ホームランを狙いにいく時はホームランを打つ。逆方向するイメージの時は流し打ち。センター返しや一、二塁間の間を抜ける強い打球をイメージすることもある。ケージの中で1打席ずつイメージを変え、それに合ったスイングを実践することを目的としている。少しでもイメージと違う打球があればスイングに微修正をかける。それは、まさに職人芸だ。
「しっかりと自分がやれることをやり切ることができれば結果は出ると思う。目標はまずは打率3割。そして安打数にもこだわりたい。超一流の領域になるかと思うけど、200本安打を目指してやりたい。盗塁も求められているので30から40。当然、それを全部、達成するとなると全試合に出ないといけない。1打席も無駄にしないことが大事になる」と高部。
プレーでいつも究極を求めている男の目標はやはりなかなかの高みにあった。それをあえてサラリと公言できるところも高部というプレーヤーの魅力である。手応えを重ね続けている春季キャンプ。自分で自分に期待をしているシーズンの幕開けに向けて丁寧に準備を重ねている。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)