スポーツ報知では今年1年を振り返る年末企画「プレーバック2024」をスタートする。初回は、社会面での記事の掲載回数や大きさをランキング化した「報知社会面大賞」。第18回の今年は、藤井聡太七冠(22)が昨年に続き2年連続4度目の1位に輝いた。フジテレビ系「Live News イット!」など報道番組でキャスターを務める「パックンマックン」のパトリック・ハーラン(54)がその理由を考察する。(浦本 将樹)
弱冠22歳の連覇に、パックンも驚きを隠せない。
「例えば大谷(翔平)さんだったらニュースでプレーのハイライト映像が何度も流れます。でも将棋にはない。『この角がよかった』ってやらないです。なのに(ABEMAの)『将棋チャンネル』を見ない人にも注目されている。すごいよ」
藤井人気の根底も探る。
「この一覧にいる人の中でも、例えば僕の所属している業界のようにイメージとか事務所の力、他の業界でも親の七光りなど他力に頼るところもあるのに、藤井さんは自分の実力のみで昨年八冠も取った。もちろん小さい頃から集中して勉強させてもらった恩恵はあると思いますよ。それでも史上最年少で全冠制覇。もう理解できないよ」
パックン自身、チェスに関しては「実力者とまあまあいい勝負ができる」ものの、将棋は素人。
「チェスと違って将棋は取られた駒が敵の戦力になっちゃう。そうなると相手の手を読もうにも、もう無限に近い。それに『捕虜になった僕の兵士が僕と戦う。いやいやいや、愛国心ないの? 僕の教育がそんなに悪かったのかな』って思っちゃう」
11月の米大統領選でトランプ氏が当選。今年の中では後半の出来事だが、8位にランクインした。民主党支持者であることを公言するパックンも思うところがある。
「彼は捜査の上、2回、弾劾(だんがい)訴追された。(不倫口止めに絡む事件で)有罪評決も受けた。その瞬間に僕は大統領になる資格はないと思う」
ならばトランプ氏の勝因は何か。
「経済がダメになった、移民政策がダメになったと思う人がいる現状で『変わらないバイデン、ハリスと、変わるトランプ』の二択になってしまったのでは」と分析する。
「コロナの時は、低所得者層が仕事を失って、リモートワークができる高所得者が残ったから、平均賃金としてはかなり上がった。その状態でバイデンが就任して、施策で右肩下がりになったように見えてしまった。でも最近になってようやく、一時的に上がる前よりよくなっているんです」と強調する。
同じような現象として捉えているのが、11月の出直し兵庫県知事で再選した3位の斎藤元彦知事だ。
「何が事実なのか、その人が悪なのか、それとも改革を進めるから既得権益にたたかれるのか。切り取られ方がトランプに少し似ている。でも斎藤知事の場合は、パワハラがあったとしたら許されるものではないけど、犯罪とはレベルが違う」
最後に気にしたのは、10位入りは逃したが、大谷選手の元通訳・水原一平被告(15位)。
「大谷選手が活躍して、風化した。一番喜んでいるのは、僕の友人の林家いっ平(現三平)。僕の周辺でイッペイといえば林家いっ平だったのに、あの時期は水原一平になっちゃった。本人も気にしていました」とプチ一平騒動を明かした。
◆報知社会面大賞 2005年スタート。スポーツ報知社会面が伝えた人物の「登場回数」「記事の大きさ」を独自にポイント化する。1面は20ポイント、最終面は10ポイント、社会面トップ記事は5ポイント、トップに次ぐ記事は2ポイントで集計。藤井聡太の受賞は18年、20年、23年に続き史上最多の4度目。