リビア内戦にも派遣された原子力潜水艦。
イギリス海軍は2024年12月13日、トラファルガー級原子力潜水艦「トライアンフ」が退役のために帰国し、母港のデボンポート海軍基地に入港したと発表しました。
「450年以上使われた伝統の艦名」を冠す潜水艦がついに退役!…の画像はこちら >>氷を割って浮上するトラファルガー級(画像:イギリス海軍)。
トラファルガー級は敵潜水艦の攻撃から艦隊や国土を守るため、1980年代に運用の始まった攻撃型原子力潜水艦です。このうち「トライアンフ」は、建造された7隻の中で最後まで残った艦でした。
同艦の退役によりトラファルガー級は約40年に及んだ役目を終えることになります。すでに同級が行っていた任務は、後継艦のアスチュート級原子力潜水艦が担っています。
同級は、対潜任務のほかにも対艦攻撃や対地攻撃にも優れる潜水艦として知られており、「トライアンフ」に関しては2001年にアフガニスタン紛争で任務に就き、標的にトマホークミサイルを発射しています。また、2011年のリビア内戦でも民間人保護のために派遣し、地中海からミサイル攻撃を行いました。
また、1993年にオーストラリアに配備された際は、前方支援なしの状態で約4万1000マイル(約6万6000km)を潜航。これは当時のイギリス潜水艦で最長の記録だったとのことです。
トラファルガー級の全艦退役を受け、イギリス海軍潜水艦部長のアンディ・パークス少将は「トラファルガー級で長年勤務してきましたが、これらの優れた潜水艦がキャリアの終わりを迎えるのを見るのは誇りでもあり、また悲しいことでもあります」と話しました。
イギリス海軍によると「トライアンフ」の艦名を初めて付けたのは、エリザベス1世の治世中である1561年に建造された、680門の大砲を揃えたガレオン船(大型帆船)だったそうです。以降450年以上にわたり、同海軍が運用した戦列艦や戦艦、空母などに引き継がれた長い伝統を持つ名前となっています。